コミュニケーションにおける、五感の情報処理法の違いの様子を「図3−4 感覚の窓」に図示します。
図3−4 感覚の窓
「図3−1 コミュニケーションの構造」の感覚情報のやり取りの部分だけを簡略化したものです。
この図は、「心理的フィルタ」の一部を表しています。
円は、感覚情報が通過できる窓と考えてください。
円の大きさは、その窓の大きさを表しています。
図3−4の場合、情報処理の優先順位は、
- 自分は、視覚が第1位、聴覚が第2位であることを表しています。
- 相手は、聴覚が第1位、体感覚が第2位であることを表しています。
表現という情報1つずつをボールだと考えてみてください。
窓が大きく開いていれば、ボールを投げて、その窓に通すことは簡単です。
窓が小さくしか開いていなければ、ボールを投げて、その窓に通すことは難しいです。
お互いが、それぞれの優先順位に従ってコミュニケーションをするとどうなるか。
自分が表現しようとする情報のボールを自分の「心理的フィルタ」を通します。
このとき、視覚の窓は大きく、体感覚の窓は小さいので、視覚情報が多く含まれ、体感覚情報はほとんど含まれないことになります。
一方、その情報のボールを受け取る相手の「心理的フィルタ」は、聴覚の窓は大きく、視覚の窓は小さいので、聴覚情報はたくさん受け取れます。
視覚情報はほとんど受け取れないことになります。
ということは、自分の表現はほとんど相手には届かない、ということが起こります。
逆に、相手の表現には、聴覚情報が多く、視覚情報が少ない状態です。
一方、自分の「心理的フィルタ」には、視覚の窓は大きく開いているけれど、体感覚の窓は小さくしか開いていません。
視覚情報をたくさん受け取りたいところですが、相手の情報に視覚情報は少ししか含まれていません。
このような状態では、なかなか円滑なコミュニケーションができない、ということになります。
こうした場合、目的があってコミュニケーションをしている側が意識して、相手の大きく開いている窓をめがけて、情報を投げ込んであげる必要があります。
その方法については、後述の「3.6.1.観察力」で紹介します。
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