お金の受取力

今回のテーマは、「受取力」です。

お金を受け取れない

先日、私がセミナーをするときに、後輩に頼んで、スタッフをしてもらいました。

会場の設営や受付をやってもらいました。

また、セミナー中に、2人1組のペアワークをするのですが、人数が偶数でないとうまくペアが作れません。

当日の参加者が奇数だったので、後輩に、人数合わせてとして、受講生と同じように、ワークに参加してもらいました。

セミナー本編が終わると、アンケート用紙を配ったり、会場の原状回復をしたり、もやってもらいました。

撤収も何も、すべてが終わって、私は用意していたお礼を後輩に手渡しました。

3,000 円を封筒に入れて渡したのです。

翌日、その後輩からメールが届きました。

おそらく、それまで封筒の中身を見ていなかったのでしょう。

「いただいたお金は受け取れません。お返しします。」

というのです。

理由を問うと、

「私は何もしていませんし、セミナーをタダで受けさせてもらったのですから。」

ということでした。

その次の日に会うことになっていたので、そのときに話をすることにしました。

お金を受け取る意味

そして次の日。

後輩はまだ

「いただいたお金は、受け取れません。」

と言っています。

私は後輩に以下のようなことを伝えました。

「セミナーのときには、本当に助かったよ。

 手伝ってもらわなかったら、準備が間に合わなかっただろうし、あれほどスムーズな進行はできなかったと思う。

 本当に助かったよ。ありがとう。」

「お礼を受け取れないというけど、オレとしては 5,000 円包めたら良かった、と思っているくらいなんだよ。

 だけど、受講生が少なかったんで、3,000 円しか渡せなくて申し訳ないと思っているくらいだ。」

と。

後輩は将来独立して、自分のビジネスを立ち上げようとしているのを、知っていたので、さらに、

「自分がしたことの価値を過小評価しているようだね。

 自分では大したことをしていないと思っていたとする。

 そして、それが本当にそうだったとする。

 それでも、そのことで相手が助かったり、喜んだりしているということは、自分がしたことが、それだけ相手に価値を与えたということなんだ。

 そのことにまず気付いた方が良い。認めた方が良い。

 そして、その対価としてお金を差し出されたのならば、ありがたく受け取った方が良い。

 それは、価値の交換なのだから。単なる価値の交換なのだから。」

「ビジネスというのは、自分が提供した品物やサービスで、お客様に価値を提供し、その対価(感謝)として代金を受け取るもの。

 きみは、品物やサービスを提供して、お金をいただく。

 お客様は、品物なり、利便性を享受して、感謝をお金という形で払う。

 将来自分でビジネスをしたい、と思っているのならば、今のうちから、自分がしたことの価値を正当に評価しよう。

 そして、その評価に見合った報酬(感謝)を受け取る練習をしておいた方が良い。

 そうでないと、ビジネスを起こして、品物やサービスを提供しても、請求書を出せない、代金を受け取れない、ということになってしまうよ。

 それは、お客様が君に感謝の気持ちとしてお金を払う機会を奪ってしまうことにもなるんだよ。」

大衆演劇などでは、観客が舞台の役者に向かって、“おひねり”(お金)を投げることがあります。

入場料、観劇料とは別にです。それ以上の高額であることすらあるようです。

観客としては、役者を喜ばせよう、経済的に支えてあげよう、という気持ちからそうするのだと思います。

それなのに、もし役者が、

「この“おひねり”は、受け取れません。

 踊りが好きで、芝居が好きで、やっているだけですから。

 それに、入場料はいただいていますから。」

なんて言ったら、観客はがっかりしてしまいますよね。

ここでは、“おひねり”を喜んで受け取る方が、お客様を喜ばせることになるのです。

それでも、受け取る気持ちになれないなら

そして、それでもまだ受け取ることができない、と思っているのならば、

  • 買おうと思っているけど、まだ買っていない本を買って勉強する。
  • セルフイメージを上げるために、少し自分のお金を足して、ちょっとリッチなディナーを食べに行く。
  • 差し入れを買って、友達に会いに行く。
  • どこかに寄付する。

とか、使い方は何でも良いので、とにかく一度は自分で受け取って、それからオレ以外のために使えばいい。

と話しました。

そう言われた後輩は、ようやくその 3,000 円を受け取る気持ちになりました。

何に使ったのかは聞いていませんが、受け取ることができたのです。

後輩は、お金の【受取力】が弱かったんです。

そして、私の話を聞いて少しお金の【受取力】が磨かれたのです。

その後、その後輩はまだ独立はしていないけれど、自分をしっかりと売り込んで、それに見合った報酬をいただける仕事を見つけ、少しずつお金の【受取力】に磨きをかけているところです。

というか、だいぶ磨きがかかってきているところです。

後輩の将来が楽しみです。

このように、

  • お金が欲しい
  • もっと稼ぎたい
  • お金持ちになりたい

と思っている人でも、お金を受け取ることができない人、って結構多いんですよ。

あなたは、どうですか?

今日の問いかけ

あなたは、お礼として差し出されたお金を、喜んで受け取れるだけの【受取力】をお持ちですか?

P.S.

こんなことを言っている私ですが、生前の父との間でこんなことがありました。

晩年の、自分ひとりでは買い物や通院ができなくなっていたころのこと。

買い物か何かを手伝いに行った帰り際に、父が私に小遣いをくれようとしました。

そのとき私は、その申し出を断りました。

蓄えを切り崩しながらの父の生活だったので、私にくれるお金があるなら、自分のために使って(残しておいて)くれと。

その後、父のところから自宅に帰る道すがら、考えました。

お金の受取力って、こんなときでも喜んでお金をもらうことなんじゃないかと。

その方が父も気持ちよく、私の手助けを受け入れられるんじゃないかと。

いつも、「忙しいのに、悪いなぁ」と言っていたので。

私もまだまだ、お金の受取力が弱いなぁ。

そう思って、次回同じような申し出があったら、喜んでもらっちゃおうと心に決めました。

その後二度と、父は私にお小遣いをあげると言うことはなく、そのまま逝きました。

一回くらいはお小遣いもらっておきたかったなぁ。と思いました。

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