フランスの画家、パブロ・ピカソのエピソードです。
ある日、ピカソが街を歩いていると、大ファンだという女性に声をかけられた。
彼女は、
「この紙に絵を書いてくれないか?」
とピカソに言いました。
ピカソは、笑みを浮かべて、小さな絵を描きました。
描き終えた絵を彼女に渡して言いました。
「この絵は、100 万ドルです。」
と。
驚いた彼女は、
「この小さな絵を描くのに、30 秒しかかかってないのに。」
と言いました。
ピカソは、
「お嬢さん、それは違います。30 年と30 秒かかっているんだよ。」
私の場合
私の経験をご紹介しましょう。
妻が、病気療養中の私に言いました。
「仕事で使うエクセルの帳票を作るアルバイトをしないか。」
と。
妻も IT スキルはあるので、自分で作ることはできます。
ただ、本業に時間を使いたいので、誰かに作って欲しいと思っていたのです。
その帳票を作るには、「vlookup」という関数を使う必要がありました。
事務所のスタッフに頼みたかったけれど、その関数を知っている人がいないというのです。
私は、元技術系だし、エクセルはマクロを組む仕事をしていたこともあるので、もちろんその関数を使うことができます。
妻もそのことを知っていました。
それで、私にその仕事を 10 万円の報酬で振ってきたのです。
病気療養中とはいえ、復帰後の準備のためにパソコン仕事はしていたので、問題ありません。
欲しいものもあったので、お小遣いになっていいなぁ、とも思いました。
作る帳票の内容を聞いているだけで、どう作れば良いかが頭に浮かんでくるくらいのものでした。
おそらく、実作業も2〜3時間あれば十分作れてしまいます。
もっと早くできてしまうかもしれません。
それなのに、10 万円ももらっていいのかな?
とふと思ってしまいました。
でも、すぐに思い直しました。
短時間で作れるのは、今までの経験(エクセルを使ってきた経験、マクロを組めることなど)があるからです。
これからエクセルを使い始める人、「vlookup 関数」を知らない人ならもっと時間がかかるし、外注しようとしたら同じくらいの費用がかかるのかもしれません。
そう考えて(妻も同じように考えていたので)、きっちり報酬を受け取りました。
ピカソの例に喩えたら、
30 秒で描いた絵を 100 万ドルで買ってくれるなんて申し訳ない。
と、30 年のことを忘れてしまうようなことでした。
あなたはどうですか?
あなたにも似たような経験はありませんか?
あなたにとっては簡単の仕事でも、それを難しいと思う人がいます。
こんな簡単な仕事で、こんなにたくさんの報酬をもらっていいのかな、と思うことがあるかもしれません。
得意なことを活かすとはこういうことです。
自分の得意で、他の人の不得意を補うことで喜んでいただく。
自分の不得意を、他の人の得意で補ってもらって活躍してもらう。
私が、短所補完法より、長所伸展法をお薦めするのはこういうことなのです。
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