Hくん 02:お客様は誰

Hくん、きみのお客様って、誰?

メインの取引先はX社です。他に何社か担当しています。

なるほど。X社と他の何社かがきみのお客様なんだね?

はい。そうです。

では、きみにとってお客様って、どんな存在?

ん〜、そうですね〜。大事な存在、って言えばいいんでしょうか。
怒らせてはいけないし、うまく付き合わないといけない存在ですね。

大事な存在なんだね。
なぜ大事な存在だと思うの?

だって、取引先だから。
怒らせてしまって、うちと取引してくれなくなったら大変ですよ。

取引してくれなくなったら、確かに大変だよね。

話を少し変えて、取引について考えてみよう。
X社はきみの会社の取引先なんだね。
では、きみの会社はX社に何をしている?

商品を売っています。

X社は何をしている?

商品を買ってます。

では、X社ときみの会社の間でやりとりしているものは何?

商品を渡して、代金をもらってます。

そういうことだよね。
商品とお金を交換しているということだ。
X社は商品を受け取る代わりにお金を出しているんだよね。
お金を出す側がお客様というワケだ。
取引というのは、一方が商品やサービスを提供して、他方がその対価としてお金を出す。
単純に言うとそういうことになるよね。
ここまでは大丈夫かな?

はい。大丈夫です。

じゃ、また少し話を変えよう。
きみがお客様になる取引について考えてみよう。
きみがお客様になる取引って、例えばどんなとき?

コンビニで買い物するときとか、居酒屋で飲むときとか、ですか?

そうそう、そういうこと。
では、居酒屋で飲むときのことを考えてみよう。
きみが居酒屋で飲むとき、その居酒屋にとってきみはお客様ということだ。
では、居酒屋で飲んでいるときに、店員に腹を立てたり、イライラするときってどんなときだろう?

たとえば、なかなかオーダーを取りに来てくれなかったり、注文したモノがなかなか出て来なかったり、注文したモノと違うものが出てきたり、ってそんなときですね。

あ〜、あるある。
ときどきそういうことあるよね。確かに、イライラするね。
では、どうしてそういうときにイライラするんだろう?

ん〜、早く飲んだり、食べたりしたいのに、それができないからとか、食べたいモノになかなかありつけなかったりするから、ってこと?

そうそう。そうだよね。
だって、食べたいモノを食べたいときに食べるため、飲みたいモノを飲みたいときに飲むためにお金を払うんだからね。
自分が期待していた商品やサービスじゃなかったり、欲しいときとタイミングがズレていたりするとイライラしたり、怒ったりするよね。

そんなときに、居酒屋の店員が「僕だってがんばってるんだから、認めてくださいよ!」と言ってきたら、どう思う?

それって、逆ギレじゃん! って思います。

そうだよね。
いくらがんばってたって、期待されているサービスができていないんだったら、ダメだよね。

そうです、ダメですよ!

じゃ、話を戻して、もう一回質問するよ。
きみのお客様って、誰?

だから、X社と他の何社かです!

ホント?

そうですよ。そう言ってるじゃないですか!

さっきの話で、お客様って何をする側だったっけ?

お金を出す側がお客様です!

そうだよね。
では、X社はきみにお金を出してる?

X社がお金を出してくれるから、僕は給料をもらえてるんです。

きみはX社から給料をもらってるの?

違いますよ!

じゃ、誰から給料をもらってる?

うちの会社からです。

そうだよね。
きみにお金を出しているのは、X社じゃなくて、きみの会社だよね。
ということは、きみの取引相手はX社じゃなくて、きみの会社だ。
きみの会社がお金を出している側ということは、きみの会社がお客様ということになるよね。

ん〜、なんだか、分かったような、分かんないような。
きつねにつままれた感じがします。

それは、しょうがないよ。
今までそういう見方をしたことがなかったんだから。
ときどきこういう見方をしてみることはとっても大切だよ。

では、今度は、きみのお客様であるきみの会社のことについて考えてみよう。
きみの会社に限らず、会社というのは、目的があって作られるんだ。
一人の人間が、もしくは、何人かの人間が集まって、社長や役員となって、誰かのお役に立つため、誰かの問題を解決するため、誰かに喜んでもらうために、商品やサービスを提供するために作られるんだ。

はい。それは分かります。

もし、たくさんの商品を扱ったり、大きな商品を扱ったり、大がかりなサービスを提供したりする場合には、社長や役員だけでは人手が足りないので、人を雇うことになるよね。
それが従業員というワケだ。

僕はその従業員です。

そのとおり。
それで、従業員は、社長や創業者がやりたいことを実現するための作業をする役割のために、会社に雇われているんだ。
そして、従業員が増えると、社長と従業員一人一人が仕事の指示をしたり、報告を受けたりしていられなくなるので、複数の従業員をまとめて仕事の指示をしたり、報告を受けたりする役割の人が必要になる。
それが中間管理職というワケだ。

なるほど。

中間管理職は、社長から与えられた役割の範囲の中で、会社を経営していることになる。
きみの上司はこの中間管理職に当たるワケだ。

きみのお客様は会社であり、その会社を経営している社長であるといえる。。
中間管理職であるきみの上司も会社の一部を経営しているようなものなので、きみの上司もきみのお客様だ。

え〜、そういうことになっちゃうんですか?

そう。
すぐには受け入れたくない氣持ちは分かるけど、言っていることは分かるでしょ。

はい〜。分かります〜。

きみのお客様は、きみの会社であり、社長であり、上司であるワケだ。
きみにお金を出してくれているからね。

そういうことになりますね。

お客様はきみにお金を出しているけれど、きみはお客様に何を提供している?

え〜と、労働力ですかね?

そう!
労働力を提供している。仕事をするというサービスと言うこともできるよね。
では、きみは、お客様からどんなサービスを期待されている?

ん〜、漠然とだけど、役に立つこと?

そうだね。
実際には、その都度、仕事が与えられるワケだから、仕事によって期待されていることは違うよね。

では、お客様が怒るときってどんなときだっったけ?

期待しているサービスが提供されないとき、ですか?

そのとおり。
居酒屋の話を思い出したら、そういうことになるよね。

ということは、上司がきみを怒っているのはどうして?

僕が上司の期待している仕事をしていないからってことですね。

そういうことになっちゃうね。
それなのに、きみは「がんばってるんだから、もっと認めて! 評価して!」と言ってる。

逆ギレですね。

ははは。そういうことになっちゃうね。
それでは、今後、きみはどうしたら良いんだろうね?

上司の期待している仕事をキチンとやることですね。

そうだね。
自分の基準でがんばっても、お客様である上司の期待に添っていなければ認めてもらうことも、評価されることもないよね。
では、どうしたら上司の期待している仕事をキチンとすることができるようになるかな?

仕事のスキルを上げることですかね?

うん、もちろん、それも大切なことだけど、もっと根本的で大事なことがあるよ。
それは、上司が期待していることをキチンと理解する、ということだ。

そっか、どんなに仕事のスキルを磨いても、上司が期待していることを理解しなければ、期待に応えることはできないですもんね。

そのとおり。

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