五感の優位順
2021.04.15
情報処理の3つのタイプ
人間の脳が情報を処理するときに、情報の種類によって、得意・不得意、優位に働くもの・そうでないものがあります。 どの情報が得...
↑によっても、フィルタの状態が変わります。
五感とは、
- 視覚
- 聴覚
- 触覚
- 味覚
- 嗅覚
です。
ここでは、便宜的に、「触覚」「味覚」「嗅覚」の3つを1つにまとめて「体感覚」と言うことにします。
つまり、五感の優位順とは、
- 視覚:目に見える情報
- 聴覚:耳に聞こえる情報
- 体感覚:その他の体で感じる情報
の3種類の情報処理の優位順のことを言います。
人にはそれぞれ、優位になりやすい感覚と優位になりにくい感覚があります。
視覚、聴覚、体感覚の3つうち、2つがなりやすくて、1つがなりにくいということが多いようです。
2つのなりやすい感覚は場面によって、どちらがより優位かは入れ替わることがあります。
場面とは、
- 仕事中かプライベートか
- 洋服と選ぶとき
- 食事メニューを選ぶとき
などです。
1つの優位になりにくい感覚は、どの場面でもあまり優位になることはありません。
とは言え、どの感覚も使えない、使わないわけではありません。
例えば、
- Aさんの仕事中:
第1位:視覚、第2位:体感覚、第3位:聴覚 - Aさんのプライベート:
第1位:体感覚、第2位:視覚、第3位:聴覚 - Bさんの仕事中:
第1位:視覚、第2位:聴覚、第3位:体感覚 - Bさんのプライベート:
第1位:聴覚、第2位:視覚、第3位:体感覚
といった具合です。
もちろん場面によらず、優位順が変わらないこともあります。
ちなみに、仕事の場面では、視覚が第1位という人が多いようです。
これは仕事の場面で、視覚情報が重要な意味を持つことが多いので、それに合わせて訓練されることが多いからです。
それでは、3つの感覚の優位順の違いによって、どんな特徴があり、どう対応したら良いかを解説していきます。
外部世界から五感を通して取り入れた、感覚情報を脳内でどのように処理するのか、というのには人それぞれ違いがあります。
同じ人に限ってみても、その時々で違う場合があります。
感覚情報には、
- 視覚情報
- 聴覚情報
- 体感覚情報
があるとお話しました。
この3つの感覚情報を、どのような優先順位で処理するか、という違いがあるのです。
仕事の場では、視覚優位を訓練されることが多いために、仕事のときには視覚優位になる人が多いようです。
しかし、それ以外の場では、人それぞれ、その時々で優位な感覚が違ってきます。
例えば、洋服を選ぶときに
- 色やデザインを見て選ぶ
- ブランドやデザイナー、素材へのこだわりが書かれたタグを見て選ぶ
- 手触りや着心地で選ぶ
と違った基準で選ぶといったことが起こります。
例えば、会議で使った資料を表現するときに
- 青い表紙の資料
- 「2016年統計」というタイトルの資料
- 固い表紙で、分厚い資料
といった違いも現れます。
3つの感覚の優先順位は、ときどきによって入れ替わるのですが、1つはあまり使わず、残りの2つが入れ替わることが多いようです。
私の場合は、視覚優位だと思っていたのですが、聴覚優位のときもあります。
体感覚を使うことはあまり使っていないようです。
例えば、私は、レストランのメニューに写真がないと選べません。
文字だけで料理の説明が書いてあるメニューでは、料理をイメージすることができません。
メニュー選びのときは、視覚優位ということになります。
かと思えば、別の場面では、書かれている文章の誤字脱字や話している言葉の言い間違いには異様に気が付きます。このときの私は、聴覚優位ということになります。
これは、私の嫁さんの話ですが、映画が好きでたくさん見ているのですが、特定の映画の話をするときに、「○○賞を取った」「監督は誰々で」などの情報が先に出てきます。
これは、聴覚優位の特徴です。
また別の例ですが、夫婦で、ネット通販サイトを一つのパソコンで見ながら商品選びをしていいたときのことです。
商品がたくさん並んで表示されている画面を見ながら、気になる商品の詳細を見るということをしていました。
私は、「この商品は?」と言いながら、写真を指差します。
すると、嫁さんは、商品名をクリックします。
写真でも、商品名でも、どちらでもクリックできるのですが、私がクリックするなら写真をクリックします。
これも、視覚優位(写真をクリック)、聴覚優位(商品名をクリック)の違いなんですね。
視覚優位
視覚優位の場合は、
- 情報は、映像が目の前に見えるように浮かびます。
- 映像には含まれる情報が多いので、素早く処理をしようとします。
- 素早く処理しようとするために、話すスピードが早口になります。
- 映像を見るので、視線が正面か上に動く傾向があります。
- 「話が見えない」などという表現を使う傾向があります。
- 見えている映像を、手や指で示しながら話すので、身振り手振りが多くなります。
視覚優位の人、場面では、視覚情報を表わす言葉を使いがちです。
大きさ、色、形、明るさなどの情報です。
「お前の話は良く見えない。」
「未来は明るい。」
などの表現をしがちです。
話すときには、頭の中に思い描いた映像を見ながら、話します。
映像は情報量が多いです。
その映像(情報)が消えて、見えなくなってしまう前に、言葉にしようとします。
なので、話すペースが速くなりがちです。
手で、物の位置や大きさを示しながら話す人がいますが、あれは実際に目の前にあるかのように、脳内で見ながら話しているのです。
話を聞くときは、聞いている情報を元に、映像を作りながら、その作った映像を見ながら理解します。
だから、
「話が見えない」
と言っているとき、その人は聞いている情報だけでは映像を作り出せていないのです。
映像が見えてこないのです。
そういう時には、映像が作れるよう、見えるような情報を補いながら、話をしたら良いのです。
可能ならば、写真や動画、実物を見せてしまえば良いのです。
映像を見ながら、話をしたり、聞いたりするので、目が正面か上に動きがちです。
私の場合、メニュー選びのときは、視覚優位になるので、メニューの写真を見て選びます。
時々、写真がなくて、食材や料理法の説明文だけのメニューがあります。
その時には、選ぶのに大変苦労します。
聴覚優位
聴覚優位の場合は、
- 情報は、音や言葉での説明が聞こえるように浮かびます。
- 情報量は、視覚、体感覚の中間的なので、処理スピードも中間的です。
- 聞こえてくる情報を順番に処理するので、話すスピードも中間的になります。
- 音や言葉を聞くので、耳の方向(=横)に動く傾向があります。
- 「色がうるさい」などという表現を使う傾向があります。
- 文字の間違いや言い間違いなど、言葉へのこだわりが強い傾向があります。
聴覚優位の人、場面では、聴覚情報を表わす言葉を使いがちです。
文字や言葉自体に意識が向かうとも多いようです。
音色、音質、リズム、テンポ、語感、などの情報です。
「色がうるさいデザインだ」
「テンポ良く進めよう」
などの表現をしがちです。
話すときには、頭の中に流れ聞こえてくる声・言葉を聞きながら、話します。
話すペースは視覚優位と体感覚優位の中間くらいです。
文字や言葉自体に意識が向かいがちなので、他人の言い間違いや言葉の使い方の間違い、誤植に気付きやすかったり、細かく指摘したりします。
美術館で絵を観賞していても、絵よりキャプションをじっくり読んでいる、ということも多々あります。
私の妻は、聴覚優位のことが多いのです。
特に、映画が好きなのですが、そのことになると顕著になります。
映画の話題の時には、
- 誰が出演していたか
- どんなストーリーだったか
などの情報の前に、 - どんな賞を授賞したか
という情報が先に出てきます。
文章に意識が向かうという特徴が、その手の情報や品物のスペックへの興味となるようです。
私は、基本視覚優位なのですが、聴覚優位のときもあります。
そのときは、とにかく言い間違いが気になってしまいます。
妻の言い間違いを指摘して
「うるさい」
「細い」
と言い返されることがしばしばです。
話を聞くときは、頭の中で言葉をリピートしながら聞いたり、実際に口ずさんだりしながら理解します。
だから、お客様の生の声を実際に音声として聞かせたり、文字起こししたものを読ませたりすると良いです。
スペックを細かく聞かせたり、読ませたり、というのも効果があります。
脳内で聞きながら話したり、耳からの情報に重きを置くので、耳のある方向、つまり横に目が動きがちです。
時々、実際に声に出して独り言を言いながら、手順を確認しながら作業をしている人っていますよね。
その人の、その時は、聴覚優位なのです。
妻と一緒に、ショッピングサイトを見ているとき、詳細情報を見るために、
- 聴覚優位の妻は、商品名をクリックします。
- 視覚優位の私は、商品写真をクリックします。
体感覚優位
体感覚優位の場合は、
- 情報は、身体で感じて味わうように浮かびます。
- 身体で感じる情報は少なく、味わうので時間もかかりがちです。
- 味わってから話すので、話すスピードも、話し始めるのもゆっくりです。
- 身体で感じるので、視線が身体の方向(=下)に動く傾向があります。
- 「本質がつかめない」などという表現を使う傾向があります。
- 視覚優位の人から、「回転が鈍い」と誤解されやすい。
体感覚優位の人、場面では、体感情報を表わす言葉を使いがちです。
触感、質感、温度、湿度などの情報です。
「話がつかめない」
「温もりを感じる」
などの表現をしがちです。
話すときは、体感覚にアクセスして、感じながら、話します。
じっくり感じながら話すので、話すペースはゆっくりになりがちです。
話を聞くときは、一度、体で感じ、味わって理解します。
だから、可能ならば、実物を持たせたり、触らせるのが効果的です。
重さを感じたり、手触り・肌触りを味わってもらうと理解が進みます。
体で感じながら、話したり、聞いたりするので、体のある方向、つまり下に目が動きがちです。
美味しさを歯ざわり、食感で味わうNLP の師匠は、その場面では、体感覚優位なのです。
洋服選びの場面でも、体感覚優位だそうで、必ず手触りを確認し、試着して着心地を確認するのだそうです。
聴覚優位の妻は、素材の確認から入ります。
デザインなどは、その後から確認です。
視覚優位の私は、まず色から入ります。サイズや着心地は、その後です。
例えば、会議資料や書籍を表わすとき、
- 視覚優位:表紙が青い本
- 聴覚優位:「コミュニケーションの仕組み」というタイトルの本
- 体感覚優位:ぶ厚くて、重たい本
などと、表現が違いします。
とはいえ、特にどの感覚にも属さない言葉や表現も多いので、必ずしも、優位な感覚の言葉や表現だけを使うわけではない、ということは抑えておいてください。
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