一般的に言われていることと第Ⅱ領域をがんばったら第Ⅰ領域がなくなることを分けて書く?
人生や仕事において、限られた時間をどう使うか?
何に使うか?
その優先順位の付け方について解説します。
優先順位のつけ方を考えるときに、良く使われるのが、緊急×重要のマトリックスです。
このページでは、緊急と重要のマトリックスを用いて、優先順位の付け方について、広く、一般的に言われていることを紹介します。
加えて、実態を踏まえて、より深く切り込んだ解説を試みています。
あなたの優先順位の付け方の学びになり、それが、あなたの人生や仕事の改善や向上のお役に立てれば幸いです。
忙しい日常生活の中で、時間の使い方、つまり、何に時間を使うか?
を考えることは、人生をいかに生きるか、いかに良い仕事をするか、という課題にとって重要なことです。
なぜなら、日常生活の時間の積み重ねこそが、人生を築き上げているからです。
人生の中で、時々大きな幸せを感じる出来事を体験することは素敵なことです。
しかし、そのために、退屈な日常生活を過ごしていることもあります。
日常生活の中で、小さな幸せを感じる出来事でも、いつでも、何度でも、体験できることも素晴らしいことと考えます。
仕事においても、ホームランを打つのも素晴しいけれど、ホームランを狙うあまり、三振も多いということもあります。
それより、日常的にヒットを打ちつつ、時にはホールランを打つのが良いと考えます。
そこで、限られた時間を、どのように使うか?
を考えるために、緊急度と重要度によるマトリックスから優先順位を決める方法があります。
下図の通り、横軸に重要度、縦軸に緊急度を取ります。
図:右上から反時計回りでⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
- 重要度=高、かつ、緊急度=高の部分を第Ⅰ領域とします。
- 重要度=高、かつ、緊急度=低の部分を第Ⅱ領域とします。
- 重要度=低、かつ、緊急度=高の部分を第Ⅲ領域とします。
- 重要度=低、かつ、緊急度=低の部分を第Ⅳ領域とします。
ここで言う、重要度とは、処理しなければならない(対処したい)物事について、その物事が人生や仕事にどれだけ良い影響があるのか?
という度合いのことです。
緊急度とは、処理しなければならない(対処したい)物事について、その物事をどれだけ速やかに処理しなければならないか?
という度合いのことです。
広く、一般的に言われていることは、
- 第Ⅰ領域の物事を、優先順位第1位として、取り組むこと
- 第Ⅳ領域の物事には、時間を使わないこと
- 第Ⅲ領域に引っ張られがちだが、第Ⅱ領域の優先順位を上げること
です。
まず、第Ⅰ領域を優先順位第1位にすることに異論はないと思います。
そして実際に、そのように扱うこともできると思います。
次に、第Ⅳ領域に時間を費やさないことは、ご理解いただけると思います。
しかし、後述しますが、実生活の中では、案外、この領域に時間を費していることがあります。
第Ⅲ領域は、緊急度が高い(締切が設定されていたり、急かされていたり)ので、ついついそれに追われて、この領域に時間を使ってしまいがちです。
しかしここでは、第Ⅱ領域に時間を使いたいところです。
「重要なのは分かっているけれど、今すぐやらなければいけないわけではないし・・・」
と後回しにして、日々の緊急度が高いことに時間を使ってしまいがちです。
しかし、ここは、他者から与えられた締切ではなく、自分で自分に締切を設定して、第Ⅰ領域に割り当て直すことも考えると良いでしょう。
このように、広く一般的に言われていることだけでも、実践できれば、人生や仕事に大きなインパクトがあります。
しかし、実態はどうでしょうか?
コラム:
広く、一般的に言われていることはよく、大きな水槽に石と砂と水を入れることに喩えられます。
水槽は人生です。 人生の限られた時間をその容量に喩えます。
- 石は人生にとって、重要度の高い物事の喩えです。
- 砂は人生にとって、重要度が中の物事の喩えです。
- 水は人生にとって、重要度が低い物事の喩えです。
」「2杯のコーヒー」「
水槽の容量は有限です。
その水槽に、水を入れて満たすとします。
すると、それ以上、石も砂も、入れようとしても、水があふれてしまって、入れることができません。
人生の時間、日常の時間をあなたの人生にとって重要度が低い物事でいっぱいにしてしまうとし 重要度が高い物事を入れるスペースがなくなってしまうという喩えです。
一方、先に石を水槽の中に入れて、満たします。
一見、水槽はいっぱいのように思えますが、石と石の間には隙間があります。
なので、その水槽にさらに砂を入れようとしても、その隙間を埋めるように砂は入っていきます。
そして、水槽が満たされ、 一見いっぱいのように思えるようになります。
しかし、砂と砂の間には細いすき間があります。
なので、この水槽にさらに水を入れようとしても、その細かいすき間を埋めるように水は入っていきます。
このように、石と砂と水を入れる順番を工夫することで、石や砂も入れられるのか、水しか入れられないのか違ってきます。
あなたの人生を充実した、幸せで、豊かなものにするために、重要度の高低を見極めて、入れる順番にこだわっていただきたいと思います。
もし今のあなたの人生が、充実した、幸せで、豊かなものとは程遠いと感じられているとしたら、厳しい言い方かもしれませんが、水ばかり水槽に入れてしまっていることの証です。
慌てて、あなたの人生にとって、何が重要で、何が重要でないかをじっくり考え直して、少しでも重要度の高いものを日常に増やしていくことを考えて、実行してください。
「今さら、そんな人生は無理だ」
って?
そう考えることは、あなたの人生にとって、重要なことですか?
あなたの人生にとって、重要でないことを考えている時間を、重要なことを考えることに使いましょうと言っているのです。
「どうしたら、より良い人生にできるか?」
を考える方が、あなたの人生にとって、重要なことではないですか?
「日々の生活に疲弊してしまっていて、そんなこと考える元気が残っていない」
って?
もしそうならば、今のあなたにとって重要、かつ、緊急なことは、
「ゆっくり、心と体を休めること。」
です。
それに取り組むとことから、始めてみたらいかがでしょうか?
私は、仕事は人生の中で大きな部分を占めるものだけど、人生の真ん中・中心を占めるものではない。
と考えています。
仕事と人生を同一視したり、 仕事を大きなものと見過ぎることには、大きな問題があると思っています。
「生活のためには、仕事しなければならないじゃないか」
と思っていますか?
では、その仕事をすることで維持している生活は、幸せですか?
もし、仕事も生活も、充実していて、幸せで、豊かさを感じられているのならば、
「おめでとうございます!」
私がとやかく言うことではないですね。
もし、仕事は充実していて、幸せで、豊かさを感じられているけれど、生活はそうではないとしたら。
なぜ、その生活にしがみつくのでしょうか?
もし、生活は充実していて、幸せで、豊かさを感じられているけれど、仕事はそうではないとしたら。
なぜその仕事にしがみつくのでしょうか?
嫌な仕事で、幸せな生活を維持できるのなら、好きな仕事なら、もっと高いパフォーマンスを上げられて、仕事も生活もハッピーにすることができますよね。
」「
努力や頑張りが必要な仕事で、成果が出せるならば、努力も頑張りも必要ない、好きなことならば、もっと成果を出せるのでは?
」「
生活も仕事もダメなら。
一度立ち止まって考えてみたらいかがですか。
少しの時間立ち止まったからといって、今よりひどい状況になりますか?
それよりも、少しでもマシな状況になれるかもしれない可能性を試す方が良くないですか?
- 何もしないで、今のままの最低の状況
- 少し立ち止まってみる。 今のままの最低の状況かもしれないけれど、少しはマシな状況になるかもしれない可能性がある。
どちらが良いですか?
いきなり理想の状態を目指すのも良いですが、少しだけマシな状況を目指して、そうなったら、また次、もう少しマシな状況を目指す。
そのときは今よりは、少し余裕があるはずなので、次のステージに進みやすいですよね。
目の前の処理しなければならない物事の重要度と緊急度を正しく測れていますか?
特に、重要度を測ることは大切です。
仕事上のことであれば、最初は上司や先輩に測り方を教わることが大切です。
まだ何も分からないうちから、自己判断で測るのは危険です。
ある程度、経験を積んでいくと、自己判断できるものが増えてきます。
そうなったら、時々、判断基準に誤りがないが上司や先輩とすり合わせをするのが良いでしょう。
自己判断をしていくうちに、教わったことからズレていってしまうこともありますので。
少しずつ経験を積んでも、自己判断できない物事も出てくるでしょう。
そういう時は、すかさず上司や先輩に相談です。
このように仕事のことであれば、相談や質問できる人がいるので活用すると良いでしょう。
人生のことについてはどうすれば良いでしょうか?
1つのやり方は、今までの人生を振り返ることです。
今までの人生の中で、嬉かったこと、悲しかったこと、などを思い返して、その共通点を挙げていくことです。
何を大切にするべきか、何を避けるべきか、が分かってくると思います。
当然、大切にするべきことが、あなたの人生にとって重要度が高いことです。
他のやり方としては、自分が送りたい人生をすでに実現している人を見付けて、その人の考え方を参考にすることです。
その人は、身近な人でも、遠い存在の人でも、実在の人でも、そうでなくても、歴史上の人物でも構いません。
実際に、その人に会えるのならば、会いに行くのもいいでしょう。
本や資料があるならば、それらと触れると良いでしょう。
そしてその人は、1人でなくても良いのです。
1人の人の全てを参考にしても良いし、複数の人の良いとこ取りをするのも良いでしょう。
「こういうとき、あの人はどう考えるだろうか?」
と考えて、重要度を測れるようになるまで、その人のことに触れると良いでしょう。
このようにして、自分の人生にとって、何が重要なのかを測れるようになりましょう。
この尺度は、人生が進んで行くにつれて、変化していっても構いません。
一度決めたからといって、変えてはいけないというものではありません。
現に、私はサラリーマンのときは、仕事のことはもちろん、人生のことも、職場の上司や先輩方を参考にしていました。
というより、今考えると、人生のことについては、それほど真剣には考えていなかったと思います。
先輩に子供が生まれたと聞けば、
「自分も将来子どもを育てるのかな?」
とか、先輩が家を建てたと聞けば、
「そうか、先輩くらいの年齢になれば家が買えるのか」
とか、そんなことを考える程度でした。
しかし、私は体を壊し、人工透析治療をする生活になってしまい、出張の多い部署でありながら、日帰りでの出張にしか行けなくなりました。
それで、
「自分は出世街道からは脱落したな。」
と考えました。
そうなると、今まで参考にしていた先輩の人生に追随することはできないんだな、ということも分かってきました。
ということは、違う手本を見い出さなければならないということです。
今まで、人生のことも、会社内の人を参考にしてきましたが、その頃から社外に手本を求め始めたのです。
すると、今まであこがれていた会社内の先輩の人生が、あこがれではなくなってしまいました。
人としては、大好きな先輩方でしたが、申し訳ないことですが、その人生にはあこがれられなくなってしまいました。
会社とは関係ないところに手本を見付けたのです。
そして私は、会社を辞めてしまいました。
あなたに、
「会社を辞めてしまえ」
とは言いません。
仮に会社外にあこがれの人が見つかったとしても、今の会社に居ながらできることはあります。
会社を辞めるのは、それらを全てやり尽くしてからで、充分間に合います。
今の会社を充分利用・活用し尽くしてからで遅くありませんからね。
ということで、人生においても、仕事においても、物事の重要度、緊急度を測れるようになることが大切です。
この力を付けながら、あなたの人生・仕事の優先順位の決め方を確立していってください。
もう1つ大切なことは、緊急度が高いことを、重要度が高いことだと勘違いしてしまわないことです。
緊急度と重要度は独立した尺度です。
これを混同してしまい、緊急度が高いだけで、重要度も高いと扱ってしまわないように注意をしてください。
そして、余程強い意志を持っていないと、あなたにとっての重要度とは関係なく、相手にとっての緊急度、重要度によって、あなたにとっての緊急度を高めて、あなたに押し付けて来る人が現れます。
そしてあなたは、その緊急度に振り回すされてしまいます。
例:
電話はまさにこの代表格です。
あなたの都合は御構い無し。
相手の都合で、襲いかかってきます。
ちょっと自分で調べれば分かることでも、電話して質問してくる。
急ぎの用事でもなく、メールでも充分用が済ませられるのに、思い付いたときに、忘れないうちに伝えておきたいという、相手の勝手な緊急度=高に付き合わされてしまいます。
そして、電話を受けた側も、その場で、もしくは、急ぎで対処しなければいけない、という錯覚させられてしまいます。
もちろん、電話が一番適切な伝達手段の場合もあるには、あるのですが。
実態を考慮すると、余程、自覚を持っていないと、第Ⅱ領域に時間を使うことは困難です。
なぜなら、重要度が高い物事に取り組むのには、多大なエネルギーが必要だからです。
多くの時間を要する、という側面もあります。
- 人生の目的は? 目標は?
- 何を大切にして生きていきたい?
- この仕事の目的は?
- 自分のキャリアのためになることは?
などを考えることは、
- 重い
- めんどくさい
- 何から取りかかれば良いか分からない
ということになって、ついつい、何も考えずに、目先の緊急度が高いことに手を出してしまいます。
その方が楽だからです。
もちろん、「楽をしたらダメだ」などと言うつもりはありません。
楽をして、重要なことに取り組めるならば、それに越したとはないですからね。
ただ、何も考えずに、緊急度が高いことだけに、時間を使っているとどうなるか?
を知っておくのは大事だと思います。
日々、緊急度が高いことに追われた生活を送っていると、次のようなことになりませんか?
日中の忙しさの反動で、帰宅後、無駄に頭がさえてしまって、なかなか床に就けない。
頭をクールダウンするためにテレビのザッピングをしたり、ゲームをやったり。
私には、このような経験があります。
忙しく残業して、遅くに帰宅して。
疲れているし、翌日も仕事があるので、早く寝れば良いのに、テレビを点け、目的もなく、チャンネルを変え、少しでも面白そう、興味をそそるチャンネルを探し、見付かれば、しばらく、それを見て。
CMになれば、他のチャネルをチェックして。
番組が終われば、またチャンネルを変え、・・・。
結局、本当に見たくて見ているわけでではなく、何となく見続けている。
そして、さすがに寝ないとヤバイという時間になって、慌てて就寝。
この時間って、緊急×重要のマトリックスで言ったら、完全に第Ⅳ領域です。
このとき、本当に時間を使うべき、重要度が高く、かつ、緊急度が高いことは、「寝ると、休むこと」のはずです。
しかし、疲れのせいで正常な判断ができなくなるのです。
あなたには、このようなことはないですか?
多くの場合、緊急度が高いことに追われる生活をしていると、上記のように第Ⅳ領域に費やす時間が増えてしまいます。
疲れてしまっているので、多大なエネルギーが必要な第Ⅰ、第Ⅱ領域には手を付けられません。
日中、第Ⅲ領域の物事に追われて、そこから解放されたので、第Ⅳ領域に逃げてしまうのです。
それでは、このようになってしまうことを防ぐには、どうしたら良いのでしょうか?
まず考えなければならないのは、緊急度が低いものでも、放置して、時間が経つと緊急度が高くなっていく、ということです。
なので、緊急度が高い物事に追われることにならないように、緊急度が低いうちに処理してしまうことです。
だからと言って、第Ⅳ領域に時間を使いましょうということにはなりません。
注目すべきは、第Ⅱ領域です。
緊急度は低いけれど、重要度が高い物事の領域です。
緊急度が低いので、後回しにしてしまいがちですが、そのまま放置して、時間が経てば緊急度が高まり、第Ⅰ領域に移動していきます。
第Ⅰ領域に移ってから、手を付ければ良いと考えてしまうかもしれませんが、そうすると慌ただしくなってしまいます。
時間をかけて、じっくり取り組むべきことに、充分な時間をかけられないという事態になってしまいます。
そして、追い立てられて忙しくなってしまうので、第Ⅳ領域の物事に、時間を費やしてしまうことにもなってしまいます。
ですので、やはり広く一般的に言われている通り、第Ⅱ領域の優先順位は高くしておくことが大切です。
ただ、本当に第Ⅱ領域の物事の優先順位を上げて処理していれば、第Ⅰ領域の物事は少なくなってきます。
究極的には、第Ⅰ領域の物事はなくなります。
緊急度が低いものの緊急度が上がることはあっても、重要度が低いものの重要度が上がることは、ほとんど考えられません。
つまり、第Ⅱ領域から第Ⅰ領域に移動することはあっても、第Ⅲ領域から第Ⅰ領域に移るとは、ほとんどないということです。
ということは、ある時期、集中的に力を尽して、第Ⅰ領域と第Ⅱ領域のことを処理してしまうことです。
それができてしまえば、その後、第Ⅰ領域の物事は出現せず、まず第Ⅱ領域に現われます。
第Ⅱ領域にある間に対処してしまえば、第Ⅰ領域は空っぽのままです。
そして、第Ⅲ領域の物事は、そもそもあなたにとっては、重要度の低いものなので、放っておいても構わないものです。
放置しても良いですし、誰か他の人に委任してしまっても良いものです。
職場での立場上、放置も委任もできないという場合もあるでしょう。
そういう場合は、第Ⅰ、第Ⅱ領域を処理して、時間が残っていたら、対処するということで良いと思います。
もしくは、上司や先輩など、仕事を振ってくる相手と良く相談してください。
あなたが第Ⅲ領域の物事だと判断した物が、実は重要度も高い第Ⅰ領域だった、ということもあり得ますので。
あとは、仕事上の優先順位とあなたの人生での優先順位をしっかり区別して考えることです。
仕事上でどんなに優先順位が高いことが分かったとしても、あなたの人生にとっての優先順位は低いということもあります。
仕事上で、何が重要で、何が重要でないか、あなたの人生の中で何が重要で、何が重要でないか、ということを考える時間をとることが大切です。
この時間は、まさに第Ⅱ領域の物事です。
まずは、このことに取り組むところから、優先順位について考えてみたらいかがでしょうか。
そして、いつも第Ⅱ領域の物事にだけ対処していれば良いという状態になったならば、心や体・時間の余裕ができて、第Ⅳ領域の物事に逃げ込む必要はなくなります。
とはいえ、その状態になれば、趣味に時間を費やしたくなったり、遊んだり、旅をしたり、休んだり、したくもなるでしょう。
でもそれは今や、人生を楽しむため、幸せ・豊かさを享受するための大切な物事なのです。
ということは、これらの物事は第Ⅳ領域ではなく、第Ⅱ領域に位置するものになっているのです。
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