リーディング

ミラーリングやペーシング、バックトラッキングは、ラポールを築くために行うテクニックです。

リーディングは、これらに比べると少し高度な技です。

それは、ラポールが築けたあとに使うテクニックだからです。

リーディングは、Reading(心を読む)ではなく、Leading(導く)です。

ラポールが築けかけてくると、

「組んでいる腕を解かせる」=「心を開かせる」

ことができます。

逆に、これができないということは、まだラポールが足りないということです。

こうして効果を測ることもできます。

ちなみに、私はコーチングセッション中など、誰かの話を聞くときには、腕を大きく広げて机の上に置き、手のひらを開いて、相手に見せるようにして座るようにしています。

「私は、あなたに心を開いていますよ。」

というメッセージを伝え、話しやすい雰囲気を作るためです。

どれだけの人が、このことに気付いているかは分かりませんが。

」「

こんな話を聴いたことがあるでしょうか?

ライブなどのイベント会場で、多くの人をスムーズに退場させるために音楽を利用しているのです。

音楽がないときよりも、音楽があるときのほうが早く退場が済むのだそうです。

音楽がないと、退場者の歩くテンポがまちまちになってしまい、スムーズな人の流れにならないからなのです。

これが、ペーシングの効果です。

さらに、音楽のテンポを少し早めにすると、さらに退場が早く済むのだそうです。

それくらい、人は無意識に音楽のテンポにペースを合わせて歩くということなのです。

これが、リーディングの効果です。

」「


今まで、同調するための方法・手段として、ミラーリング、ペーシング、バックトラッキングの解説をしてきました。

これらをした先には、リーディング(leading)という目的があります。

同調することで、「心理的フィルタ」を開くことが容易になることを学んできました。

リーディングは、同調ができているかの確認ができるとともに、この後のコミュニケーションの主導権を握ることにつながります。

まず、ここで新しいことを1つ学んでいただきましょう。

「心の状態と身体の状態は一致している」

ということです。

先に、相手が腕を組んでいたら、自分も腕を組んでみましょう。

という例を挙げました。

この、「相手が腕を組んでいる」というのがどういう心理状態なのか、というお話をしておきたいと思います。

心の状態と体の状態は一致しています。

腕を組んでいる、足を組んでいる、ということは、自分の身体を守る姿勢です。

自分の身体と相手の間に腕や足を置くことで、自分の身体を守っているのです。

と同時に、自分の心も守っているのです。心を閉じている状態です。

中には、クセで腕を組む人(腕を組むのはクセだという人)もいますが、それでもこのことは当てはまります。

体を斜にしているならば、話を真正面から受け止めようとはしていない、ということです。

体の状態を見れば、心の状態が分かるということです。

このことが分かった上で、相手が腕を組んでいたら、自分も腕を組んでみる。

というのは、相手が心を閉じていたら、自分も閉じてみるということになってしまいます。

これでは、コミュニケーションをする上では、良い状態とはいえませんので、自分は少し控えめにしてみたら、ということなのです。

相手と同じかそれ以上に心を閉ざしていたら、相手の心を開くことはできません。

相手より少しでも心を開いた方が良いのです。

そして、ミラーリング、ペーシング、バックトラッキングが上手く効果を発揮し始めると、リーディングができるようになります。

相手が腕を組んでいる。自分も控え目に腕を重ねている。

そして、いざ話を本題に進めようとしたときに、

「それでですね…」

と言いいながら、自分が腕を広げて、前のめりになってみるのです。

このときに、相手が

「なになに?」

と、腕組みを解いて、少しでも前のめりになったのなら、リーディング成功です。

ミラーリング、ペーシング、バックトラッキングが上手く効果を発揮していれば、今度は相手が無意識に自分の動きや姿勢に合ってくるようになります。

ここでは、腕組みを解き、前のめりになります。

そうです。

身体の状態と同様に、心理的にも心を開いて、前向きになった瞬間です。

あなたが、相手に味方メッセージを伝えつづけて、それが伝わって、実を結んだ瞬間です。

相手の「心理的フィルタ」が開いたところです。

このように、同調することは、自分が主導権を握るために行うことなのです。

逆に、リードする目的で、自分が腕を広げて、前のめりになったのに、まだ相手の姿勢が変わらないとき。

それは、まだ味方メッセージが伝わり切っていない、だから、まだ心を開く準備ができていない、ということなのです。

慌てる心を鎮めて、改めて同調するところからやり直してみてください。

「失敗はない。学ぶ経験があるだけ。」

「うまくいっていないなら、違うことを試せ」

という言葉を贈ります。

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