文書化
言わなくてもわかりそうなことは省略して話す。
相手が知りたいと思う最低限のことだけを話したりするよね 。
でもこのことがとても問題になることもあるんだよ。
どういうことかというと、このくらいは言わなくても相手に分かるだろうと思って省略したこと、それが相手には伝わらなかったり、相手には分からなかったり、分かるだろうと思って省略したが、相手は違うことをその省略した部分に当てはめてしまった、ということで誤解を生んでしまうことがある。
上司が言った、明日までに仕上げてねっていうことだけど、明日までというのは、明日の何時までなのか、というのが省略されてるよね。
それを君は「明日の昼まで」とか「明日の朝まで」と考えた。
でも上司は明日の朝使うから、今日の夜までにはそれを仕上げて欲しいと思っていた。
そういう食い違いが問題を引き起こしたりするんだよね。
それからこんなこともあるよ。
例えば、今僕の事務所で話をしてるよね。
ここで僕が、
「この部屋ちょっと暑くない」
って言ったとしよう。
それは、暑いのか暑くないのかを質問しているように思うよね。
でももしかしたら、
「この部屋が暑いから、窓を開けてもいいかな?」
と聞いているのかもしれない。
もしかしたら、
「君に窓を開けて欲しい」
と思っているのかもしれないよね。
このように、自分がして欲しいことを、直接的な表現をせずに、少し遠回しに表現する言い方がある。
このことも誤解を生む原因になったりする。
他の例で言うと、今君そこに座ってるよね。
「こっちの椅子に座ってもらってもいいかな。」
と言ったとしよう。
これは字面だけを見ると、
「こっちに座ってもらってもいいかな。」
という質問になっている。
質問なので、答えは「いいですよ」か「良くないですよ」になるはずだけども、君はどうしたかって言うと、実際に席を移ったよね。
これは僕の表現の中に、
「移ってください。」
という意味が込められていることを君は理解したからってことだよね。
このくらいの簡単な遠回しの表現であれば、間違いなく伝わることになるけれども、これがもう少し複雑な表現になっていたりだとか、相手が思っている意味を取り違えてしまったりすると、問題が起きてしまいかねないよね。
それから、他にある例としては、自分が考えてることを友達に話したら、同意してくれた。
もう一人の友達に話したら、その話も同意してくれたとしよう。
次の人は同意してくれなかった。
でも君は、
「みんな同意してくれてるのに、何で君は同意してくれないの。」
というようなことを言うかもしれない。
でも実際は、「みんな」と言ってるけれども、君と二人の友達が同意してくれたに過ぎない。
正確な言い方に変えると、
「僕と二人の友達はそう思っている。それなのになぜ君はそう思わないんだい?」
ていうことになるよね 。
他によく使われる表現は、
- いつも〇〇している。
- みんなそう言っている。
- いつだってそうだ。
- そんなの、どこにでもあるよ。
というような表現を使うことがある。
これは厳密に言うと、
- いつもではない
- みんなではない
- いつだってではない
- どこにでもではない
でも一般的によくあることを、
- 「いつも」
- 「全部」
- 「みんな」
- 「どこにでも」
という風に言ってしまうことがある。
これを一般化って言う。
このように、用語を覚える必要ないけれども、人の表現の中には、「省略」と「婉曲」と「一般化」という表現をすることがある。
それは、
- コミュニケーションを円滑にする
- 簡略化する
- 効率的にする
ことのために、そういうことしているわけだけれども、厳密・正確なコミュニケーションをするためには、ここをうまく埋めていく必要がある。
誤解を生まないように、誤解してしまわないように、
- 省略
- 婉曲
- 一般化
の表現がされた時に、
- 「省略」であれば省略された部分を補う。
- 「婉曲」であれば真意を問う。
- 「一般化」であれば、厳密な数字・回数を確認するということが必要になってくる。
それをするために大事なことは、間違って伝わってはいけないことを省略しないようにする。
誤解されないようにするためには、誤解されては困る部分は特に婉曲的な表現を使わないようにする。
一般化せずに、具体的な数字を言うようにする、といったことが必要である。
逆に聞き手の場合は、間違って受け取ってしまったら、まずいことになりそうだ、というところを質問して、確認するということが大事になってくる。
例えば、最初の質問で、
「ここまでどうやってきた?」
と聞いた時に、
「電車で来ました。」
という答えをもらった。
でも僕が知りたかったのは、電車は電車でも、 JR なのか、地下鉄なのか、ということを知りたかったとしよう。
すると僕はここで、
「何線で来たの?」
という質問をすることができる。
そうすることで、君はその省略した部分を答えることによって、ぼくが知りたかった情報が間違いなく伝わることになる。
でもそこを確認しないで、
「おそらく地下鉄で来たんだろう。」
と勝手に推測することで、問題になってしまうこともある。
「この部屋ちょっと暑くない?」
という場合も、それは
「僕が窓を開けましょうか?」
と確認すると間違いがないよね。
本当は君が窓を開けてくれるのを期待して言っているのに、
「暑いのなら、開けたらいいじゃないですか。」
と言っちゃうとギクシャクした感じになってしまうよね 。
もし君の部屋に、友達や彼女が遊びに来ている時に、
「この部屋、少し暑くない?」
と言われたとする。
このセリフも言葉通りに聞くと、
「この部屋暑くない?」
という質問なので、その答えは、
- 「うん、暑いね。」
- 「いや、そんなに暑くないよ。」
というような答えになるはずだよね。
でもその時君はおそらく
「エアコンをつける」
「窓を開ける」
そんな行動をとるんじゃないかな。
それは、
「暑いんじゃない?」
という質問の中に、
「暑いから涼しくしてほしい。」
という気持ちやお願いしている気持ちも含まれている、というのを感じ取るからだよね。
それは感じ取れればいいけれども、感じ取れなかったり、感じ取り方が間違えたりすると、そこにはコミュニケーションとしてのミスが起こるのでお互い気まずい思いをすることになるよね。
関連記事
コメント