Cちゃん001:英人くんと話して、本村に会いに行く。

Cちゃん 001:英人くんと話して、本村に会いに行く。

今日は大学の同期のCちゃんとランチ。

就職してからも、2,3ヶ月に一回は週末に会って、情報交換したり、ただバカ話をしたりしている。
今日は前回から少し間が開いてしまって、ちょっと久しぶりな感じ。

まずは、カフェで待ち合わせてから、一緒にお店を決めることになっている。

~~~~~

Cちゃん、お待たせ。

あぁ、英人くん。
全然待ってないから大丈夫だよ。

Cちゃん、おしゃれなカフェ知ってるね~。
よく来るの?

ううん。
初めて来たお店だよ。
雑誌で紹介されてて、来てみたかったんだよね。

へ~、そうだったんだ~。

ねぇ、ねぇ、英人くん、これ見て。
新しいスマホに買い換えちゃった。

え~、前回会ったときに買ったばっかりだって言ってたのに、もう買い換えたの?

そうなの。
だって、今はこっちの方が流行りだって、最新の機能がついてるって言うからね。

ふーん。
で、今日はどこに食べに行こうか?

口コミサイトで見つけた、このお店はどう?
美味しそうじゃない?

うん。じゃ、そこにしよう。
(Cちゃんって、前は流行を追いかけるようじゃなかったと思うんだけどなぁ)

~~~~~

そろそろ、次のシーズンの洋服買わなきゃな~。

流行色って、なんで毎年コロコロ変わるんだろうね?
誰が決めてるんだろう?
毎年新しく買わなきゃいけないから、お金が大変だよ。

そうなんだ。
僕はあんまり流行にはこだわらないから分からないけど、そういうものなの?

やっぱり、情報には敏感でいたいじゃない。
世の中から取り残されちゃってるって感じるの嫌だもんね。

でも、大地震があってから、原発のこととか、それに限らず、テレビや新聞の情報とネットの情報とが食い違ってたりするよね。
政治家の言ってることも信用できないし、今の世の中、何を信じたらいいのか分からないね。

(ようやく、前のような知性派らしい発言が戻ってきたぞ)
確かに、情報が溢れていて、放っておくとどんどん情報が入り込んでくるから、ちゃんと考えていないと情報の洪水に流されちゃうよね。

Cちゃんはどうやって情報を選別してるの?
(なんだか真面目な話になってきた)

ん~、実は、最近は何がなんだか分からなくなってきているんだよね。
情報には敏感でいたいと思って、いろんな情報を仕入れているんだけど、ちょっとパンク気味だな。

英人くんはどう考えてるの?

僕はね~、・・・

<ここで、英人は、自分が考えていること、そう考えるようになったのは本村の影響があること、本村がどんな人であるかということ、などを話した>

今度、会って話をさせてもらうことがあるから、そのときに一緒に話を聞いてみたら。
お願いしたら、Cちゃんも一緒においで、って言ってくれると思うよ。

そう。じゃ、英人くんが行くときに一緒に行かせてもらうね。

~~~~~

で、今日はどういったことで、遊びに来てくれたのかな?

英人くんの大学時代の同期のCです。
今日はよろしくお願いします。

この前、英人くんと話をしていて、近ごろは情報が溢れていて、メディアも不祥事続きで、何を信じたらいいんだろうね、って話をしたんです。
そしたら、本村さんに情報との接し方を教えてもらったことがあって、面白い話だから、本村さんから直接聞いた方が良いから、一緒に行こうって誘われたんです。

なるほどね。

それで、Cちゃんは、どんなときに情報が溢れているなぁ、と思ったの?

<英人が口を挟んだ>

Cちゃんは学生時代は、流行にはあまりこだわらず、自分が良いと思ったものを選んでいたという印象があるんです。
でも、この前会ったときは、雑誌の影響で買ったばかりのスマホを新しいのに買い換えたり、ネットで話題のお店に行きたかったり、ファッションのことでは、毎年流行色が変わるから大変だって言ってたりしてました。

あ、そうか。
スマホもお店も、ファッションのことも溢れる情報に流されていたんですね。
気づいてませんでした。

ははは。
気づいてなかったんだ。

じゃ、先にその話からしてみようか。

まず、情報ってどうやって生まれて、どうやって流れて行くのか、ということを考えてみようか。
例えば、雑誌の情報が元でスマホを買い換えた、ってことだけど。

はい。
雑誌を読んでいたら、最新機能のスマホが欲しくなっちゃったんです。

なるほどね。
雑誌の情報に影響されたということなんだね。

おそらく、というか、ほぼ間違いなく、それが情報が生まれた理由なんだと思うよ。

情報は理由があって生み出され、理由があって流される。

スマホは機能がどんどん新しくなるものなんですよ。
最新機能のスマホの方が便利ですよ。
という情報を流してたんだよね。

なんで、こんな情報を流すのか分かる?

え~と、最新機能のスマホを買わせるためですよね?

そうだよね。
最新機能のスマホを買って欲しくて、そういう情報を流してるんだよね。
Cちゃんは、しっかりその狙い通りに新しいスマホに買い換えたワケだ。

たいていの情報は誰かが何かの目的を持って生み出して、流される。
その目的は大きく四つに分類される。

1.情報発信者の得になって、情報受信者にも得になる。
2.情報発信者の得になって、情報受信者の損になる。
3.情報発信者の損になって、情報受信者の得になる。
4.情報発信者の損になって、情報受信者にも損になる。

ただ、情報発信者の損になる目的でワザワザ情報を流す人はいないのは分かるよね。

だとすると、情報発信者の得になる目的があるから情報は生み出され、流されるってことだよね。

ときには、「そんなこと言っちゃったら、自分の立場が危うくなっちゃうのに」と思うような情報を流す人がいるよね。
でも、それは突き詰めれば、その人にとっては、自分の立場を守ることよりも、その情報を流すことの方が、信念に合っている、ということだから、やっぱり自分の得になっているんだよね。

ということなので、大事なことは、この情報は誰がどんな得を手にする目的で生み出され、流されているのか、ということを考えながら、情報に触れることなんだよね。

え、でも雑誌の読者がスマホを買ったとしても、雑誌社は得にはならないんじゃないですか?

確かに、読者がスマホを買っても、直接的には雑誌社の利益にはならないよね。
でも、考えてみてごらん。
雑誌社の収入はどこから入ってくる?

雑誌が売れた売上ですよね?

それもある。
でも、もっと大きな収入源があるでしょ?

あ、そうか。
広告収入ですね。

そのとおり。
雑誌によっては、広告ページの方が多くて、分厚くなっているものもあるでしょ。
分厚いわりには、値段が安かったりする。
広告で収入があるから、値段を安くすることができるんだよね。

そして、値段が安くて分厚いから雑誌を買ってもらい易くなる。
たくさん雑誌が売れるから、広告スペースを高値で売れる。

そういう仕組みだよね。

」「

新聞の場合。

新聞の売上で利益を上げる必要はない。

広告収入の方が利益があがるから。

広告収入を増やす方法の1つが、発行部数を増やすこと。

発行部数が多いということは、それだけの人の手に渡っているということ。

それだけ、広告の効果が発揮できるから、広告掲載料を高くすることができる。

だから、◯ヶ月無料で新聞を購読してください。洗剤あげます。野球のチケットも付けます。とかやっているワケ。

それをやってでも部数が増やした方が結果的に儲かるということ。

」「

でも、それでは読者がスマホを買うと雑誌社が利益を得られる説明になってないような。

じゃ、もっと具体的に考えてみよう。
雑誌はスマホの新しい機種が出る時期に、「スマホ徹底比較」みたいな特集をやるわけ。
そうすると、スマホの買い替えを考えている人は買って読むよね。
その雑誌にスマホのメーカーや通信会社の広告が出てたら、どうなる?

その広告を見て、買う人が出てきます。

そうだよね。
しかも、新しい機種が出る時期に毎度毎度、新しい機能はいいよね、って特集記事が書かれていたらどう?

買い替えを考えていなかった人の中からも、買う人が出てくるかもしれません。
私みたいに。

そうそう。
としたら、広告主であるスマホのメーカーや通信会社はどうする?

新しい機種が出るごとに広告を出したくなります。

だよね。
広告を出せば、スマホが売れて、利益になる。
雑誌社からすれば、広告スペースが売れて利益になる。

しかも、その雑誌の特集記事で推薦された機種はヒットすると定評になったら、広告主は何を考える?

その雑誌で推薦して欲しいと思うようになります。
もしかしたら、広告スペースが高くても買うかもしれません。

ということは、雑誌社の収入は増えるよね。
もちろん、こうやって広告スペースの値段を釣り上げることが悪いというワケではないよね。
雑誌社だってビジネスとしてやっているんだから。
しかも、特集記事で推薦したらヒットすると定評になるには、それだけの実力や努力が必要だ。

だから、これはレッキとしたビジネス活動だ。
広告主にしたって、その雑誌に広告を出せば、広告費以上に利益が上がることを見込んで広告を出す。
これもまっとうなビジネス活動。

あとは、情報の受信者である読者が、こういう仕組みを分かっているかどうか、ということ。
分かっていないで、情報を鵜呑みにして、新しいスマホをどんどん買い換えるのはちょっと危なっかしいよね。
分かっていて、でもやっぱり欲しいから買い換えちゃおう、っていうのは健全だと思う。
もちろん、今回はやめておこう、という判断もできるしね。

ネットの情報でカフェに行ったって話も同じようなことだよね。

それから、ファッションの流行色についてはもうちょっと面白い裏があるんだよ。
流行色は、ファッション業界が話し合って決めているんだ。
どうしてか分かる?

どうしてでしょう?

じゃ、今年の流行色はこれです! って雑誌で見たら、そのシーズンに洋服を買うときどうする?

流行色を取り入れてみようかな、と想います。

そうだよね。
おそらく、Cちゃんだけでなく、多くの人がそう思うよね。
取り入れ方は人それぞれだと思うし、取り入れない服を選ぶこともあるだろうね。

では、今年の流行色が去年の流行色と同じだったらどうなる?

去年買った洋服が着られるので、買わなくて済みます。

そうだよね。
それって、ファッション業界にしてみたらどういうこと?

売れないってことですね。
それはまずいですね。
そっか、だからファッション業界が決めるんですね。

そういうこと。
流行を自然発生に任せておいたら、去年と同じ色が流行っちゃって、今年は売れ行きが悪くなっちゃいました。
っていうのはダメなんだよ。
だから、自然発生する前に先に決めちゃうの。

売れ行きの問題だけじゃないんだよ。

流行色を自然発生に任せちゃうと、どんな色が流行るか分からないよね。
でも季節に合わせた品物は作らないといけないでしょ。
どんな色が流行るか分からないとどうなる?

例えば、服の色が10色だけだとしよう。
流行色が予め分かっていたらどうだろう。
店頭には100着並べられるとしよう。
流行色以外の9色も用意しないワケにはいかないので、それぞれ5着ずつ、合計45着用意することにする。
そして、流行色を55着用意することにした。

季節が過ぎて、売れ行き状況を確認したら、流行色は55着中40着が売れて、15着が売れ残った。
流行色以外の9色はそれぞれ5着中3着ずつ売れて、2着ずつ売れ残った。
合計すると、売れたのが67着、売れ残ったのが、33着となる。

一方、どの色が流行るか分からなかったらどうなるか?
どの色が流行っても良いように、10色の洋服を10着ずつ合計100着用意しないといけないよね。

そして、その中の1色が自然発生で流行りました。
そうすると、その1色はよく売れるよね。
それ以外の9色の売れ行きはそこそこ。

需要がさっきと同じだったとすると、
流行色の洋服が欲しい人は40人、でも売っているのは10着。
流行色は売り切れ。30人は買わずに帰ってしまった。
それ以外の9色は10着中3着ずつ売れて、7着ずつ売れ残った。
合計すると、売れたのが37着、売れ残ったのが63着となる。

流行色が決まっていないと、たくさん売れ残りが出てしまったね。
売れ残りは損失なわけだ。
でも、損失はこれだけではない。
買わずに帰ってしまった30人の人がいる。
製品があれば売上になったのに、製品がなかったばっかりに売上が上がらなかった。
こういうのを機会損失というんだよ。
これも結構大きいよね。
上がるはずだった売上が上がらなかったんだから。

もしかしたら、流行色が売り切れてたら、仕方なく他の色を買ってくれる人もいるかもしれない。
なので、実際の売れ残りはもっと少ないかもしれない。
でも、損失が大きくなってしまうことには変わりないよね。

(図表を書いて解説)

こういうことがあるので、ファッション業界としてのビジネス戦略として流行色を前もって決めているんだ。

これもスマホの話と同じで、このような仕掛けを知ってて乗っかっているのと、知らずに踊らせれているのとでは大きな差だよね。

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