働きかけ(フィードバックループ)

第4章

第4章では、「働きかけ」について、考えていきたいと思います。

ここでの最大の問題は、「働きかけができない」ということです。

「目標」が設定できても、「働きかけ」ができなければ、フィードバックループを回すことはできません。

「働きかけができない」理由は、

  • 最初から完璧な「働きかけ」をしなければならない
  • 一度した「働きかけ」は成果が出るまで続けなければならない
  • 一度の「働きかけ」で成果を出さなければならない

などの思い込みです。

しかし、これらは単なる思い込みです。

最初から完璧な「働きかけ」ができるワケがありません。

そんなことは当然です。

そのために、フィードバックループを形成するのです。

「働きかけ」をすれば、状況に何かしら変化が現れます。

その変化を「観察」して、「振り返り」をして、「フィードバック」します。

そして、「フィードバック」の結果、「働きかけ」を調整します。

それが、フィードバック制御の本質ですので、最初から完璧な「働きかけ」をしなければならないということはありません。

一度した「働きかけ」を成果が出るまで続けなければならないということもありません。

「働きかけ」をした結果、「状況」が目標から遠ざかってしまったならば、即座に「働きかけ」の手段、方法を変えないといけません。

成果が出るまで、と続けてしまっては、逆に成果からかけ離れていってしまいます。

また、一度の「働きかけ」で成果を出さなければならないということもありません。

一度の「働きかけ」で成果が出せるならば、フィードバック制御をする必要はありません。

一度の「働きかけ」では成果を出しきれないからこそのフィードバック制御なのです。

なので、最初は難しいことは考えずに、思いついたこと、これならできると思うことをやってみたら良いのです。

大事なことは、「働きかけ」てみて、その結果状況がどう変わったのかを「観察」「振り返り」をして、フィードバックすることです。

うまくいっている(=目標と状況のギャップが小さくなりつつある)ときには、今やっていることを続ける。

その「働きかけ」を止めない。余計なこと(変更を加えたり、違うことをしたり)をしない。

うまくいっていない(=目標と状況のギャップが大きくなりつつある)ときには、違うことをしてみる。

アイデアがあるなら、それを試す。アイデアがないなら何でも良いから試してみる。

私が学んでいる心理学にはこんな言葉があります。

「失敗はない。結果があるだけ。」

うまくいっていないように思えることは、望んでいる結果がまだ得られていないというだけのことであって、望んでいるのとは違う結果は得られているのです。

「働きかけ」をしているから、結果が得られているのです。

それが、望んでいる結果か、望んでいるのとは違う結果なのかは、そのときどきですが。

明日の朝は早く起きないといけないので、さっさと寝たいのに眠れない。

という夜があったとします。うまくいっていないことのように思えます。

しかし、別の夜、明日までに資料を完成させなければならないので、寝ないでがんばりたい。

それなのに、眠くて仕方がない。

眠ってしまいそう。

という状況から考えたら、うまくいっているように思えるのです。

もう一つ、こんな言葉があります。

「成功の反対は失敗ではない。成功の反対は『何もしない』である」

挑戦したからこそ失敗した(ように思える結果になった)のであって、挑戦するからこそ成功する(欲しい結果が得られる)のである。

そもそも挑戦しなければ失敗もしない。もちろん、成功もしない。

成功と失敗は反対の位置にあるのではなく、挑戦した結果という同じ側にあるのです。

一番の過ちは、挑戦して失敗することではなく、失敗を恐れて挑戦をしないことなのです。

次に、考えることは、「働きかけ」の選択肢、自由度を増やすことです。

エアコンの例で言うと、高性能化と多機能化です。

電源の入切だけだったモノが、強・弱・切の3段階調整ができるようになったり、さらに、冷・涼・弱・微・切の5段階調整ができるようになったり。

温めることしかできなかったヒータが冷暖房ができるエアコンになったり、除湿や加湿ができるようになったり、空気清浄機能まで付いたり。

という感じです。

部屋の快適さを追及すると、高性能化、多機能化を進める必要があるのです。

そして、部屋を快適にするためには、

  • 何を制御すれば良いのか
  • そのためにはどんな機能が必要なのか

を考える必要があります。

部屋を快適にするためには、

  • 室温、湿度を制御する必要がある
  • そのためには、加熱・冷却、除湿・加湿できる機能が必要である

ということを知ることが大切です。

このことと同じように、「チーム力蘇生術」でも目指す状況を精緻にコントロールするには、「働きかけ」の選択肢、自由度を増やすことを考える必要があります。

そして、そのためには、

  • 何を制御すれば良いのか
  • そのためにはどんな機能が必要なのか

を考える必要があります。

エアコンの例のように、

  • 室温を制御するなら加熱か冷却をすれば良い
  • 湿度を制御するなら除湿か加湿をすれば良い

と簡単に分かりますが、「チーム力蘇生術」の場合は少々複雑さがありますので、この辺りを詳しく取り扱っていきましょう。

「チーム力蘇生術」の場合、制御対象は、「職場の状況」です。

「職場の状況」は、「環境要因」によるものと、「人的要因」によるものに分けられます。

「チーム力蘇生術」で扱うのは、「人的要因」によるものですので、こちらを取り扱っていきます。

「人的要因」を取り扱うということは、つまり、スタッフやチームを取り扱うということです。

個々の状況や問題については、ここでは分かりませんしので、全てを網羅することは個別サポートに任せるとして、ここでは代表的なコトを取り上げていきます。

具体的には、

  1. コミュニケーションを知る
  2. 心理学を知る
  3. 違いを知る

という項目に分けて考えていきたいと思います。

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