第4章
第4章では、「働きかけ」について、考えていきたいと思います。
ここでの最大の問題は、「働きかけができない」ということです。
「目標」が設定できても、「働きかけ」ができなければ、フィードバックループを回すことはできません。
「働きかけができない」理由は、
- 最初から完璧な「働きかけ」をしなければならない
- 一度した「働きかけ」は成果が出るまで続けなければならない
- 一度の「働きかけ」で成果を出さなければならない
2021.03.23
目標は変えてはいけない?
[[name1]]さんは、目標は変えても良いと思いますか? 目標は一度設定したら、簡単に変えるのはどうなんでしょう? ...
などの思い込みです。
しかし、これらは単なる思い込みです。
最初から完璧な「働きかけ」ができるワケがありません。
そんなことは当然です。
そのために、フィードバックループを形成するのです。
「働きかけ」をすれば、状況に何かしら変化が現れます。
その変化を「観察」して、「振り返り」をして、「フィードバック」します。
そして、「フィードバック」の結果、「働きかけ」を調整します。
それが、フィードバック制御の本質ですので、最初から完璧な「働きかけ」をしなければならないということはありません。
一度した「働きかけ」を成果が出るまで続けなければならないということもありません。
「働きかけ」をした結果、「状況」が目標から遠ざかってしまったならば、即座に「働きかけ」の手段、方法を変えないといけません。
成果が出るまで、と続けてしまっては、逆に成果からかけ離れていってしまいます。
また、一度の「働きかけ」で成果を出さなければならないということもありません。
一度の「働きかけ」で成果が出せるならば、フィードバック制御をする必要はありません。
一度の「働きかけ」では成果を出しきれないからこそのフィードバック制御なのです。
なので、最初は難しいことは考えずに、思いついたこと、これならできると思うことをやってみたら良いのです。
大事なことは、「働きかけ」てみて、その結果状況がどう変わったのかを「観察」「振り返り」をして、フィードバックすることです。
うまくいっている(=目標と状況のギャップが小さくなりつつある)ときには、今やっていることを続ける。
その「働きかけ」を止めない。余計なこと(変更を加えたり、違うことをしたり)をしない。
うまくいっていない(=目標と状況のギャップが大きくなりつつある)ときには、違うことをしてみる。
アイデアがあるなら、それを試す。アイデアがないなら何でも良いから試してみる。
私が学んでいる心理学にはこんな言葉があります。
「失敗はない。結果があるだけ。」
うまくいっていないように思えることは、望んでいる結果がまだ得られていないというだけのことであって、望んでいるのとは違う結果は得られているのです。
「働きかけ」をしているから、結果が得られているのです。
それが、望んでいる結果か、望んでいるのとは違う結果なのかは、そのときどきですが。
明日の朝は早く起きないといけないので、さっさと寝たいのに眠れない。
という夜があったとします。うまくいっていないことのように思えます。
しかし、別の夜、明日までに資料を完成させなければならないので、寝ないでがんばりたい。
それなのに、眠くて仕方がない。
眠ってしまいそう。
という状況から考えたら、うまくいっているように思えるのです。
もう一つ、こんな言葉があります。
「成功の反対は失敗ではない。成功の反対は『何もしない』である」
挑戦したからこそ失敗した(ように思える結果になった)のであって、挑戦するからこそ成功する(欲しい結果が得られる)のである。
そもそも挑戦しなければ失敗もしない。もちろん、成功もしない。
成功と失敗は反対の位置にあるのではなく、挑戦した結果という同じ側にあるのです。
一番の過ちは、挑戦して失敗することではなく、失敗を恐れて挑戦をしないことなのです。
次に、考えることは、「働きかけ」の選択肢、自由度を増やすことです。
エアコンの例で言うと、高性能化と多機能化です。
電源の入切だけだったモノが、強・弱・切の3段階調整ができるようになったり、さらに、冷・涼・弱・微・切の5段階調整ができるようになったり。
温めることしかできなかったヒータが冷暖房ができるエアコンになったり、除湿や加湿ができるようになったり、空気清浄機能まで付いたり。
という感じです。
部屋の快適さを追及すると、高性能化、多機能化を進める必要があるのです。
そして、部屋を快適にするためには、
- 何を制御すれば良いのか
- そのためにはどんな機能が必要なのか
を考える必要があります。
部屋を快適にするためには、
- 室温、湿度を制御する必要がある
- そのためには、加熱・冷却、除湿・加湿できる機能が必要である
ということを知ることが大切です。
このことと同じように、「チーム力蘇生術」でも目指す状況を精緻にコントロールするには、「働きかけ」の選択肢、自由度を増やすことを考える必要があります。
そして、そのためには、
- 何を制御すれば良いのか
- そのためにはどんな機能が必要なのか
を考える必要があります。
エアコンの例のように、
- 室温を制御するなら加熱か冷却をすれば良い
- 湿度を制御するなら除湿か加湿をすれば良い
と簡単に分かりますが、「チーム力蘇生術」の場合は少々複雑さがありますので、この辺りを詳しく取り扱っていきましょう。
「チーム力蘇生術」の場合、制御対象は、「職場の状況」です。
「職場の状況」は、「環境要因」によるものと、「人的要因」によるものに分けられます。
「チーム力蘇生術」で扱うのは、「人的要因」によるものですので、こちらを取り扱っていきます。
「人的要因」を取り扱うということは、つまり、スタッフやチームを取り扱うということです。
個々の状況や問題については、ここでは分かりませんしので、全てを網羅することは個別サポートに任せるとして、ここでは代表的なコトを取り上げていきます。
具体的には、
- コミュニケーションを知る
- 心理学を知る
- 違いを知る
という項目に分けて考えていきたいと思います。
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