チーム力蘇生術講座(全体像)

第2章(2通目)

「チーム力蘇生術」の全体像を理解していただくために、

私の得意分野である、制御システムのことを交えながらお話させていただきたいと思います。

制御システムの話といっても、身近な具体例を交えながら説明しますので、安心してください。

身近な具体例として、エアコンを取り上げたいと思います。

「チーム力蘇生術」の全体像をエアコンの進化になぞらえて説明していきたいと思います。

エアコンの最も初期のスタイルが「ヒータ」です。

電源を入れると部屋を温めてくれるアレです。

少し高機能になると、電源の入切の他に、強弱を切り替えられるモノもあります。

(図表を作成)

単純化して制御システム的な図にすると

となります。

制御対象は室温です。

そのための入力が電源の入切、強弱です。

電源を入れるとヒータが作動し、室温を加熱します。

強弱を切替えるとヒータの出力が切り替わり、加熱の度合いが切り替わります。

この初期スタイルのヒータの弱点は、制御対象である室温を検知していないので、

室温の状態に関係なく、放っておけば、ずっと部屋を加熱し続けてしまいます。

そこで、一歩進歩した、温度設定ができるヒータが下図です。

(図表を作成)

制御対象は室温です。

そのための入力が温度設定です。

制御対象である室温を温度センサで測定しています。

測定した室温信号を入力側に反映させています。

この入力側に反映させることを「フィードバックする」と言います。

そして、「フィードバックする」ことで制御することを「フィードバック制御」と言います。

一番単純なヒータのフィードバック制御は、サーモスタットです。

・測定した室温が設定温度より低いときには、ヒータを運転(ON)させます。

・測定した室温が設定温度と同じか、高くなったときには、ヒータを停止(OFF)させます。

もう少し進歩したヒータになると、ON/OFFの切り替えだけではなく、強弱の調整をします。

・測定した室温が設定温度より大きく下回るときには、ヒータを「強」で運転させます。

・測定した室温が設定温度より小さく下回るときには、ヒータを「弱」で運転させます。

・測定した室温が設定温度と同じか、上回ったときには、ヒータを停止させます。

強弱の2段階だけでなく、強・中・弱の3段階などと、段階を細かくすればスムーズな制御ができるようになります。

では、ここで「チーム力蘇生術」を考えてみましょう。

初期スタイルの「ヒータ」に相当するのが下図です。

(図表を作成)

制御対象が「状況」です。職場の状況ですね。

そのための入力が「目標」です。

目標が定まると、あなたは「状況」に対して「働きかけ」をし始めます。

しかし、初期スタイルのヒータと同様、このままでは状況を見ていないので、

一方的な働きかけになってしまいます。

状況に関わらず、同じ働きかけ、あるいは、思いつきの働きかけをし続けている状態です。

独りよがりの状態とも言えますね。

これでは、職場にいるスタッフ・チームは堪ったものではないですね。

それでは、温度設定ができるヒータのように、少し進化させましょう。

温度設定できるように、フィードバック制御をするのでしたね。

フィードバックを追加したのが下図です。

(図表を作成)

制御対象は「状況」です。

そのための入力が「目標」です。

制御対象である「状況」をあなたが観察しています。

観察した状況を振り返って入力側に反映させています。

フィードバック制御の形のうち、

「状況」を観察して、「振り返り」ながら、「働きかけ」を調整し、「状況」へ影響を与え、

の部分を「フィードバックループ」といいます。

(図表を作成)

そして、

「状況」が「目標」に一致するか、限りなく近づくまで、

「状況」を観察して、「振り返り」ながら、「働きかけ」を調整し、「状況」へ影響を与え、

を繰り返します。

このことを、「フィードバックループを回し続ける」と言います。

チーム力を蘇生するためには、まずはフィードバックループを回し始めることが大切です。

フィードバックループを回し始めたら、

次に目指すのは、各部分の精度向上と機能アップを考えていきます。

それは、あたかも「ヒータ」を「エアコン」に進化させるようなことです。

(図表を作成)

「ヒータ」は加熱する(=暖房)だけでしたが、機能アップして、

「エアコン」になると、加熱も冷却も(=暖房も冷房も)できます。

さらに、梅雨時の湿気を取るために除湿もできます。

最近は、冬場の暖房時期の乾燥を防ぐために加湿もできるエアコンもあります。

さらには、図には書いていませんが、空気清浄機能のあるエアコンもあるようですね。

このように、エアコンの機能アップし、併せて、フィードバックするためのセンサも室温センサだけでなく

湿度センサを追加するなど、高機能、高性能化することで、

室温だけでなく、湿度も制御対象にすることができ、室内環境をより快適にすることができるようになります。

また、図の出力側(右側)に追加されていますが、制御対象には「外乱」というものがあります。

・暖房中に、人の出入りがあって、外気が入ってきて、室温が下る

・キッチンでのお料理で火を使って、室温が上がる

・お風呂の湯気が部屋に入ってきて、湿度が上がる

フィードバックループを回し続けて、室温や湿度が設定値と一致した後でも、

外乱によって乱されてしまうこともあります。

ということで、フィードバックループは回し続ける必要があるのですね。

チーム力の蘇生について考えてみると、

(図表を作成)

「ヒータ」が「エアコン」に進化したように、

あなたの「働きかけ」や「振り返り」を進化させることができます。

そうすることで、きめ細かな「目標」設定ができ、「状況」をそれに近づけることができます。

そして、チーム力の蘇生についても、「外乱」はつきものなので、フィードバックループを回し続けることが大切です。

この場合の「外乱」とは、例えば、

  • 新しいスタッフが入る
  • お客様からのクレーム
  • 職場環境の変化

などです。

第3章以降で、各部分の機能をアップするために必要なこと、気をつけるべきことを解説していきます。

具体的には、

第3章:「目標」について

第4章:「操作」について

第5章:「制御対象」について

第6章:「フィードバック」について

第7章:「フィードバックループを回し続ける」について

を解説していきます。

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