■ 実践に使えるコミュニケーションパターン
いよいよ今回が最終回です。
今までは、コミュニケーションの基本的な考え方を中心に学んで来ました。
今回は、実践に使えるコミュニケーションパターンを一つ学びます。
職場や子育ての場面などで、部下や後輩、子供が失敗をしてしまったときに
使えるコミュニケーションパターンです。
その名も、
・問題分析型コミュニケーション
・解決誘導型コミュニケーション
です。
問題分析型コミュニケーションは、
失敗や問題が起きた原因にフォーカスしたコミュニケーションです。
解決誘導型コミュニケーションは、
どうすれば成功するか、解決策にフォーカスしたコミュニケーションです。
では、一つずつ見ていきましょう。
問題分析型コミュニケーションの例を挙げます。
1.何が悪かったのですか? 問題は何なの?
2.なぜこんな問題が起きたの(こんな失敗をしたの)?
3.どのように失敗したのですか?
4.なぜ、そんなことをしちゃったの(しなかったの)?
5.誰の責任ですか(誰が悪いの)?
こんな感じです。
このコミュニケーション(質問)を実際にしてみると氣付かれると
思うのですが、実は、これはあまり良くない例なんです。
あえて、良くない例を最初に挙げてみました。
これって、結構やってしまっていて、氣付かないことなんです。
このように質問するとどうなってしまうのでしょうか?
実際、小さな失敗(忘れ物とか)を取り上げて、
お友達に、この順番で質問してもらうと分かると思います。
是非試してみてください。
とっても責められている感じがして、ついつい言い訳を言いたくなって
しまうのです。
あなたが質問する立場の場合、言い訳を聞いても意味がないですよね。
ホントの原因を聞かないと意味がありません。
では、上記の例で、言い訳を引き出してしまう原因は何なのでしょうか?
それは、「なぜ」というキーワードの影響なのです。
「なぜ」の他には、「なんで」「どうして」も
言い訳を引き出すキーワードなんです。
もちろん、言い方(声のトーンなど)にも影響しますが、
心理的に責められている感じを与えてしまうのです。
英語で表現すると、
”Why” で始まる質問ですよね。
答は、
”because” で始まりますね。
ここがポイントなんですね。
心理的に責められている感じを与えない質問の仕方は、
5W2H の”Why” 以外を使えば良いのです。
Why 以外の4W2H は、
What,Who,When,Where,
How,How much(many)
ですね。
「なぜ」という質問を
「何が原因(きっかけ)で」「いつから」「どんな理由で」と
いうように置き換えれば良いのです。
そうすれば、その質問にあった事実を引き出すことができます。
それでは、最初の例をこのやり方に従って直してみましょう。
1.何が悪かったの? 問題は何なの?
2.何が理由でこんな問題が起きたの(こんな失敗をしたの)?
3.どのように失敗したのですか?
4.何がきっかけでそんなことをしちゃったの?
(いつからそういうことをしちゃってたの?)
(何が原因でそうしなかったの?)
5.誰の責任ですか(誰が悪いの)?
という感じになります。
是非、実際にお友達に質問をしてもらって、
最初の例との感じ方の違いを体験してくださいね。
次は、解決誘導型コミュニケーションの例を挙げます。
前置き:「起きたことは起きたこととして」
1.今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?
2.その結果を得るためには、何をすれば良いでしょうか?
3.それができているということが、どのようにして分かりますか?
4.今回のことで学んだことはなんですか?
5.次の機会に、その新しいやり方を試しているところを
思い浮かべてみてください。
6.では、その新しいやり方を改めて、説明してみてください。
こんな感じです。
前置きの言葉が、問題を起こしてしまった(失敗してしまった)人の
心を軽くしてあげられます。実際にやっていただければ分かります。
そして、具体的な解決策を引き出していきます。
企業間の取引上の問題では、
原因を報告することも必要になるので、
うまく問題分析型コミュニケーションと解決誘導型コミュニケーションを
組み合わせて使えば良いでしょう。
具体的には、問題分析型コミュニケーションで質問をして、
一通り問題を分析することができたら、それに続いて、
解決誘導型コミュニケーションの前置きを言ってあげて、
質問をしていけば良いとでしょう。
それほど重大な問題でない、日常の失敗や子供の失敗などの場合には、
問題分析型コミュニケーションは飛ばして、
最初から、解決誘導型コミュニケーションの前置きから入るのでも
良いでしょう。
実際に試してみてくださいね。
最終回のうまくいくコミュニケーション講座は、
■ 実践に使えるコミュニケーションパターン
でした。
是非、実際に使ってみてくださいね。
」「
職場内で、何か問題が起きたときに、
原因究明や再発防止策を作らなければならないという場面がありますよね。
そんなときに知っておくと便利な2つのコミュニケーションスタイルを紹介します。
原因追及
2つのコミュニケーションスタイルは、場面によって使い分けます。
そうすることによって、
原因究明や再発防止策を作るのに必要な情報を効率的に集めることができたり、
無用にスタッフを責めてプレッシャーを与えなくて済んだりします。
2つのコミュニケーションスタイルとその使い分け方は次の通りです。
問題分析型コミュニケーション
原因究明が必要なときに使うコミュニケーションスタイル。
顧客や取引先に報告しなければならないときなど。
原因究明に必要な情報を効率良く収集する。
解決誘導型コミュニケーション
原因究明よりも再発防止を目指すときに使うコミュニケーションスタイル。
それほど大きい問題ではないとき、自社内だけで済む問題のときなど。
スタッフに無用なプレッシャーをかけずに、再発防止に必要な情報を効率良く収集する。
具体的に見ていきましょう。
問題分析型コミュニケーション
例えば、失敗したスタッフに対して、その原因を探るためにする以下のような質問です。
何が悪かったのですか? 問題は何なの?
なぜ、こんな問題が起きたの?
どのように失敗したのですか?
なぜ、そんなことをやったの?/やらなかったの?
誰の責任ですか(誰が悪いの)?
ここで一つ、大事なコツをお伝えします。
原因を探るための質問なので、
「なぜ?」「どうして?」
と聞いてしまいがちです。
しかし、あなたがこのように聞かれたらどんな感じを受けますか?
おそらくスタッフは「責められている」と感じてしまいます。
「責められている」と感じてしまうと、どうしても「言い訳」をしてしまいがちです。
答える側が「言い訳」をし始めてしまっては、
質問する側は必要な情報が聞き出せなくなってしまいます。
そのためには、聞き出したいことがはっきりと伝わるような
質問にしてあげることが大切です。
「なぜ、こんな問題が起きたの?」ならば、
「こんな問題が起きた原因は何なの?」
「なぜ、そんなことをやったの?」ならば、
「そんなことをやった理由は何なの?」
「そんなことをやったら、どうなると思ってやってみたの?」
などのように。
最後の
「誰の責任ですか?」
については、
最終的な責任は経営者であるあなたが負っているということを
しっかりと伝えて上で、問題の原因となった人を特定すると良いと思います。
顧客や取引先に個人名を報告するかどうかは別としてですけど。
こういうことなので、このコミュニケーションスタイルは
必要に迫られたときにだけ使うのが良いと思います。
自社内でのちょっとした問題に、多用はしない方が良いと思われます。
実際、私のセミナーで、「ちょっとした失敗」に対して、
二人一組になって、上記の5つの質問をするワークをしてもらうことがあります。
例えば、「鍵を忘れてきてしまった」という失敗に対して。
Q1:何が悪かったのですか? 問題は何なの?
A1:昨日、帰宅時に、いつもと違うところに鍵を置いてしまった。
Q2:なぜ、こんな問題が起きたの?
A2:いつものところに鍵がなかったので、
カバンに入っていると思ったから。
Q3:どのように失敗したのですか?
A3:カバンに入っていると思っていた鍵が入っていなかった。
Q4:なぜ、そんなことをやったの?/やらなかったの?
A4:出かけるときに、鍵を持ったことを確認しなかったから。
Q5:誰の責任ですか(誰が悪いの)?
A5:私の責任です。
この一連の質問をされた方に、感想を聞くと
「いや~な気分になった」
「とても責められている気分だった」
「自分が悪いのは分かってるよ~」
と、ネガティブな感想ばかりです。
解決誘導型コミュニケーション
例えば、失敗したスタッフに対して、次の機会にはどうするか?
を問うための以下のような質問です。
前置き:「起きたことは、起きたこととして...」
1.今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?
2.その結果を得るためには、何をすれば良いでしょうか?
3.それができているということが、どのようにして分かりますか?
4.今回のことで学んだことはなんですか?
5.次の機会に、その新しいやり方を試しているところを想像してみてください。
このコミュニケーションスタイルは、
原因(過去)を振り返るより、より良い結果(未来)を考えるのに適した型です。
再発防止策を作るのに必要な情報を得るのにも有効です。
ここで、またセミナーでのワークを見てみましょう。
前置き:「起きたことは、起きたこととして...」
Q1:今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?
A1:鍵を忘れないようにする。
Q2:その結果を得るためには、何をすれば良いでしょうか?
A2:帰宅時、いつも同じところに鍵を置く。
そして、出かけるときには、鍵を持ったことを確認する。
Q3:それができているということが、どのようにして分かりますか?
A3:鍵がカバンの中に入っていることで分かります。
Q4:今回のことで学んだことはなんですか?
A4:モノを粗末に扱ってはいけないな、と思いました。
Q5:次の機会に、その新しいやり方を試しているところを想像してみてください。
A5:「・・・・」(想像しているので、しばし沈黙)
「はい。」
この一連の質問をされた方に、感想を聞くと
「今度は忘れないと思う。」
「対策を具体的に考えられて良かった。」
「起きたことは、起きたこととして、という前置きで救われる」
と、ポジティブな感想ばかりです。
まとめ
問題分析型は、ネガティブな気持ちになるから使ったらダメで、
解決誘導型は、ポジティブな気持ちになるからこちらを使いましょう、
ということではありません。
どちらが良いとか、悪いとかの話ではなく、一長一短があるので、
目的に合わせて使い分けることが大切だということです。
そうすることで、無用な摩擦を生まずに、
スムーズに必要な情報が集められるようになるのです。
問題が起きたときには、一呼吸置いて、
どちらのコミュニケーションスタイルが適しているかを
考えてからスタートするようにしてみることをオススメします。
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