原因分析型/問題解決型コミュニケーション

何か問題や不手際が発生したとき、失敗を犯してしまったときに、原因究明や再発防止をしなければならないことがあります。

そんなときに知っておくと便利な2つのコミュニケーションスタイルを紹介します。

  1. 原因分析型コミュニケーション
  2. 問題解決型コミュニケーション

の2つです。

2つのコミュニケーションスタイルは、目的によって使い分けることができます。

原因究明や再発防止をするのに必要な情報を、効率的に集めることができたり、無駄に他者を責めてプレッシャーを与えなくて済んだりします。

原因分析型コミュニケーション

重大な問題が起きたときや顧客・取引先などに報告しなければならないときなど、原因究明が必要なときに使うコミュニケーションスタイルです。

原因究明に必要な情報を効率良く収集します。

問題解決型コミュニケーション

軽微な失敗をしたときなど、原因究明よりも再発防止を目指すことの方が、大事なときに使うコミュニケーションスタイル。

他者に無用なプレッシャーを与えずに、再発防止に必要な情報を効率良く収集します。

具体的に見ていきましょう。

原因分析型コミュニケーション

例えば、問題の原因になってしまった人に対して、その原因を探るためにする以下のような質問です。

  • 何が悪かったの? 問題は何なの?
  • なぜ、こんな問題が起きたの?
  • どのように失敗したの?
  • なぜ、そんなことをやったの?/やらなかったの?
  • 誰の責任(誰が悪いの)?

ここで一つ、大事なコツをお伝えします。原因を探るための質問なので、

「なぜ?」「どうして?」

と聞いてしまいがちです。

しかし、あなたがこのように聞かれたらどんな感じを受けますか?

おそらく、

「責められている」

と感じてしまいます。

そう感じてしまうと、どうしても

「言い訳」

をしてしまいがちです。

答える側が「言い訳」をし始めてしまっては、質問する側は必要な情報を聞き出せなくなってしまいます。

そのためには、聞き出したいことがはっきりと伝わるような、質問にしてあげることが大切です。

「なぜ、こんな問題が起きたの?」

「こんな問題が起きた原因は何なの?」

「なぜ、そんなことをやったの?」

「そんなことをやった理由は何なの?」
「それをやったら、どうなることを期待してやったの?」

などのように。最後の、

「誰の責任ですか?」

については、最終的な責任は、責任者が負っているということをしっかりと伝えて上で、問題の原因になってしまった人を確認している、ということを伝えることが大事です。

顧客や取引先に個人名を報告するかどうかは別としてですけれど。

このコミュニケーションスタイルは、このように他者にプレッシャーを与え、言い訳を引き出してしまいかねないものなので、必要に迫られたときにだけ使うのが良いと思います。

軽微な問題には、多用しない方が良いでしょう。

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実際、私のセミナーで、「ちょっとした失敗」に対して、
二人一組になって、上記の5つの質問をするワークをしてもらうことがあります。

例えば、「鍵を忘れてきてしまった」という失敗に対して。

Q1:何が悪かったのですか? 問題は何なの?

 A1:昨日、帰宅時に、いつもと違うところに鍵を置いてしまった。

Q2:なぜ、こんな問題が起きたの?

 A2:いつものところに鍵がなかったので、
    カバンに入っていると思ったから。

Q3:どのように失敗したのですか?

 A3:カバンに入っていると思っていた鍵が入っていなかった。

Q4:なぜ、そんなことをやったの?/やらなかったの?

 A4:出かけるときに、鍵を持ったことを確認しなかったから。

Q5:誰の責任ですか(誰が悪いの)?

 A5:私の責任です。

この一連の質問をされた方に、感想を聞くと

「いや~な気分になった」
「とても責められている気分だった」
「自分が悪いのは分かってるよ~」

と、ネガティブな感想ばかりです。

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問題解決型コミュニケーション

例えば、失敗した人に対して、

「次の機会にはどうするか?」

を問うための以下のような質問です。

前置き:「起きたことは、起きたこととして...」

  1. 今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?
  2. その結果を得るためには、何をすれば良いでしょうか?
  3. それができているということが、どのようにして分かりますか?
  4. 今回のことで学んだことはなんですか?
  5. 次の機会に、その新しいやり方を試しているのを想像してみてください。

このコミュニケーションスタイルは、原因(過去)を振り返るより、より良い結果(未来)を考えるのに適した型です。

再発防止策を作るのに必要な情報を得るのにも有効です。  

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ここで、またセミナーでのワークを見てみましょう。

前置き:「起きたことは、起きたこととして...」

Q1:今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?

A1:鍵を忘れないようにする。

Q2:その結果を得るためには、何をすれば良いでしょうか?

A2:帰宅時、いつも同じところに鍵を置く。
   そして、出かけるときには、鍵を持ったことを確認する。

Q3:それができているということが、どのようにして分かりますか?

A3:鍵がカバンの中に入っていることで分かります。

Q4:今回のことで学んだことはなんですか?

A4:モノを粗末に扱ってはいけないな、と思いました。

Q5:次の機会に、その新しいやり方を試しているところを想像してみてください。

A5:「・・・・」(想像しているので、しばし沈黙)
   「はい。」

この一連の質問をされた方に、感想を聞くと

「今度は忘れないと思う。」
「対策を具体的に考えられて良かった。」
「起きたことは、起きたこととして、という前置きで救われる」

と、ポジティブな感想ばかりです。

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原因分析型コミュニケーションと問題解決型コミュニケーションを、使い分けるのも良いですが、原因分析型コミュニケーションと問題解決型コミュニケーションを繋げて使うのも効果的です。

原因究明と再発防止を同時に実現することができます。


職場や子育ての場面などで、部下や後輩、子どもが失敗してしまったときに使える2つの質問パターンを紹介します。
「問題分析型」と「解決誘導型」です。
「問題分析型」とは、次のようなパターンです。

  1. 何が悪かったの? 問題は何なの?
  2. どんな理由でこんな問題が起きたの(こんな失敗をしたの)?
  3. どのように失敗したの?
  4. 何がきっかけでそんなことをしちゃったの?
  5. 誰の責任?(誰が悪いの)?

「解決誘導型」とは、次のようなパターンです。

  1. 前置き:「起きたことは起きたこととして」
  2. 今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?
  3. その結果を得るためには、何をすれば良いですか?
  4. それができているということが、どのようにして分かりますか?
  5. 今回のことで学んだことはなんですか?
  6. 次の機会に、その新しいやり方を試しているところを思い浮かべてみてください。
  7. では、その新しいやり方を改めて、説明してみてください。

こんな感じです。
「問題分析型」を読んでみると、責められている感じがすると思います。なので、言い方(声のトーンなど)を上手く調整して質問をすることが大切です。
そして、このパターンは、企業間の取引上の問題など、原因を報告する必要がある場合にのみ使えば良いでしょう。そのときは、「問題分析型」のあとに引き続き「解決誘導型」の質問もすると良いでしょう。前置きの言葉が、問題を起こしてしまった(失敗してしまった)人の心を軽くして挙げられます。省略しないで、言ってあげてください。そして、再発防止策を上手に引き出しましょう。
それほど重大な問題ではない、日常の失敗や子どもに失敗などの場合には、「問題分析型」を飛ばして、「解決誘導型」のパターンだけでも良いでしょう。

この2つのパターンについては、セミナーで、ちょっとした失敗を題材にして体験してもらいます。セミナーでなくても、試しに誰かに質問してみたり、誰かから質問してもらったりして、感じ方にどんな違いがあるのかを体験してみるのも良いと思います。


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