対症療法と根治療法1

「こんな問題が起きているんですけど、どう対処したら良いですかね?」

という相談を受けることがあります。

コーチの私としては、この質問に対しては、お答えしたくない、というのが本音です。

なぜかと言いますと・・・。

問題解決のアプローチ

以前良く使っていた、地下鉄の駅構内のことです。

その駅の1つの出入口(A出入口としましょう)は、オフィスや商業施設がたくさん入っている、大きなビルに直結しています。

利用客が多い時間帯には、A出入口へ向かう通路付近では、

「A出入口付近は左側通行です。ご協力お願いします。」

というような内容のアナウンスが、30秒に1回くらいの頻度で流れています。

しかも、かなり大きなボリュームで。

どうして、こんなにアナウンスを繰り返すのかなぁ、と疑問に思っていました。

よほど、マナーが悪い人が多いのか? とも思いました。

あるとき、その理由が分かりました。

大きなビルに直結しているA出入口なのですが、そのビルの敷地に入ると、すぐにエスカレータがあります。

そのエスカレータが、右側通行なのです。

ビルから駅に来る人は、右側通行のエスカレータに乗って、A出入口にやって来ます。

意識しなければ、右側通行のまま駅構内の通路を進むことになります。

左側通行をするためには、人の流れを無視して、クロスしなければなりません。

一方、ビル内のオフィスに向かう人(普段から良く利用している人)は、エスカレータが右側通行だということを知っているので、駅構内から、すでに右側通行をしているのです。

いくらアナウンスで、うるさく左側通行を促しても、構造がそのようになっていないので、無理があるのです。

アナウンスで告知する、という対症療法よりも、通路とエスカレータの運用を合わせる、という根治療法の方が、よほど問題解決には近道だと思うのです。

もちろん、地下鉄とビルの運営母体が別々で、うまく調整ができないからこうなってしまっているという事情は分かって言っています。

問題が起きてから対処するのか、問題が起きないように対処するのか

このことと同じように、冒頭の相談を考えると、起きる問題の対処を考えて準備しても、もぐらたたきゲームのように、繰り返し問題が起きて、その都度対処することになります。

それよりも、問題が起きないようにするにはどうするかを考えて、手を打つ方が、よほど効果的だと思うのです。

例えば、

Q:「良く穴に落ちるのですが、どうしたら素早く穴から出られるようになりますか?」

という相談を受けたら、

A:「それより、穴に落ちないようになるには、どうしたら良いかを考えた方が良くないですか?」

と答えると思うのです。

もちろん、直面している苦痛を和らげるための、対症療法は必要です。

しかし、それだけではなく、根治を目指すことが重要です。

あなたが今抱えている問題の、根本的な原因を取り除くには、どうしたら良いと思いますか?

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