コミュニケーションを知る
私がコミュニケーションや心理学の勉強をしてきた中で、描いたコミュニケーションの構造図を紹介します。
またしても、私の得意なブロック図です。
まずは、図の説明をします。
左側が自分、右側がコミュニケーションをする相手です。
最初に、自分が相手に何かを伝えたいときのことを考えてみましょう。
一番左の自分から、図の上半分を経由して、一番右の相手に達するルートです。
一番左の「自分」の中に「伝えたいこと」が生まれます。
その「伝えたいこと」は「自分のフィルタ」を通して、表現されます。
「自分のフィルタ」は、自分の生まれや育ち、価値観や思い込み、語彙、その時の気分などに影響を受けます。
表現には、言葉やボディランゲージ、言葉でも話し言葉や書き言葉、図解などが含まれます。
相手は、あなたが表現したことを「相手のフィルタ」を通して受け取ります。
「相手のフィルタ」は、相手の生まれや育ち、価値観や思い込み、語彙、その時の気分などに影響を受けます。
「相手のフィルタ」を通った表現が、相手が「受け取ったこと」となります。
「相手の心理」と書いてあるのは、相手の心の中で行われる、自己対話ということもできます。
相手が「受け取ったこと」と相手の心の中で行われる自己対話によって、相手の反応が決まります。
「相手の反応がコミュニケーションの成果である」と考えるならば、
自分が何を言ったかよりも、相手に何が伝わったか、の方が大切なことが分かります。
相手が自分に何かを伝えたいときは、
一番右の相手から、図の下半分を経由して、一番左の自分に達するルートです。
先ほどと逆にルートをたどります。
ここで、重要なことは、「自分のフィルタ」と「相手のフィルタ」が違うということです。
生まれた環境、育った環境、価値観や思い込み、語彙などに影響を受けているフィルタは
それぞれが違ったものであるはずです。
全く同じということはありえません。
なので、自分が「伝えたいこと」が、相手の「受け取ったこと」と同じになるとは限りません。
相手が「伝えたいこと」が、自分の「受け取ったこと」と同じになるとは限りません。
そこで、自分が「伝えたいこと」と相手が「受け取ったこと」とが同じになったか、
もしくは、許容できる範囲まで近づいているのか、を観察をする必要があります。
そして、許容できる範囲まで近づいていないことが分かったのならば、表現を変える必要があるのです。
許容できる範囲まで近づくまで、表現を変えて伝えることが必要なのです。
そう、ここでもフィードバック制御をするのです。
小さく、フィードバックループを回すのです。
日本人は、生まれ育った環境・文化・言語が似通っているので、
「自分のフィルタ」と「相手のフィルタ」が同じであるという思い込みが少なからずあります。
しかし、コミュニケーションを上手にするたまには、
「自分のフィルタ」と「相手のフィルタ」は違うという前提でいた方が安全です。
そして、「自分のフィルタ」と「相手のフィルタ」が違うということは、
図の真ん中に書いたように、同じ出来事を経験したとしても、
それぞれが「受け取ったこと」は別のモノとなるということです。
同じモノを見たり、聞いたり、経験したり、したとしても、
そのことをどう受け取るのかは同じにはならないのです。
これかのことを知った上で、効果的なコミュニケーションの取り方について学んでいきましょう。
・フィルタを開ける。
自分にも、相手にも、フィルタがあることが分かりました。
効果的なコミュニケーションを取るためには、まずこのフィルタを開ける必要があります。
「相手のフィルタ」が閉じているというのは、相手があなたの言うことに聞く耳を持っていないということです。
「相手のフィルタ」が閉じていたら、どんなに素晴らしい表現をしたとしても、相手には何も伝わりません。
「相手のフィルタ」が中途半端にしか開いていなければ、伝えたいことも伝わりにくい状態です。
理想は、「相手のフィルタ」を全開にすることです。
このような「相手のフィルタ」が開いている状態のことを、心理学用語では、
「ラポールが築けている状態」と言います。
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