時には逆から見ることも大事

とあるクライアントのC先生をサポートしていたときのことです。

「スタッフチームの中で、Dさんが浮いているんです。」

「他の何人かのスタッフから、
 Dさんに関する不平・不満を聞きました。」

「しばらく様子を見ていると、
 たしかにDさんは他のスタッフと違っているように
 思えるんです。」

という話がありました。

私は、C先生に違う視点を持っていただこうと思い、

「Dさんが浮いているのではなくて、
 他の人が全員浮いているとしたら?」

と問いかけてみました。

すると、C先生は、次のようなことに気付かれました。

Dさんが、チームの他のメンバーと
考え方や行動が異質であることは確かでした。

そして、C先生は最初、
少数派のDさんが浮いていると認識しました。

しかし、実際は、C先生の意図を理解して、
自分で考えて、行動しているのは、Dさんだけであり、

他の人はC先生の意図していることが理解できずにいた、

ということだったのです。

正しく状況を見ないと、少数派だからというだけで、
Dさんを悪者・除け者にしてしまうところでした。

指導すべきは、Dさん以外の人だったというオチです。

C先生の「思考のクセ」は、

「多数派がいつも正しい」

というものでした。

他の何人かのスタッフが、Dさんに関する不平・不満を
言っているのを聞いたので、
そちらが多数派で、正しいと感じたのです。

さらに、C先生の意図を理解して、自分で考えているDさんは、
自分の意見を提言したり、C先生の間違っている部分を
指摘したりします。

Dさんが自分自身で考えているからこそできることなのですが、
C先生はそれを「反発」と受け取ってしまい、
Dさんを扱いにくい存在と感じてしまっていたのです。

他のスタッフは、
C先生の意図しているところを理解していないので、
ただ「はい、はい。」と聞いているだけです。

C先生はそれを「従順」と受け取ってしまい、
他のスタッフは言うことを聞く良い子ばかり、
と感じてしまっていたのです。

職場においては、スタッフの誰よりも経営者のほうが、
広い視野、多くの視点を持つことができる立場です。

スタッフからの不平・不満は、
スタッフの狭い視野、少ない視点からの
問題提起のことが少なくありません。

そんなときに、経営者がスタッフと同じ視野・視点だけで
状況を観察していては、正しい判断はできません。

スタッフよりも、広い視野・多くの視点で
観察することが大切です。

「思考のクセ」が元となる視野・視点の固定化から
脱却できるようになることが大切なのです。

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