心理的フィルタはボキャブラリー・言葉からの連想に影響される

同じ単語を使っていても、その意味するところ、イメージすることは人によって異なります。

妻と私とで、「雨」という言葉から連想する言葉を、それぞれ10個書き出してみました。

私の10個と妻の10個で共通するものは、3つしかありませんでした。


同じ言葉を使っていても、その言葉から連想することが人によって違っていることがあります。
1つ具体例を挙げてみましょう。
「雨」という単語から連想する単語を10個挙げてみるというワークをしたことがあります。
あなたも、10個挙げてみてから、続きを読んでみると面白いかもしれませんね。
私が挙げた10個は次のとおりです。

  1. 恵み
  2. しとしと
  3. 長靴
  4. 水たまり
  5. ジメジメ
  6. 浄化

さて、あなたの10個と比べて、どれだけ同じモノがあったでしょうか。
ちなみに、私の嫁さんが挙げた10個を紹介します。

  1. 森高千里
  2. 休日
  3. 集中豪雨
  4. 長靴
  5. 雨乞い
  6. 太陽

です。
私と嫁さんの双方で挙がったのは、「傘」「長靴」の2つだけです。夫婦であっても、こんなものです。
あるお客様の事務所の職員向けにセミナーをしたときに、同じワークをしました。参加者は6名でした。
6名が10個ずつ挙げるワケですから、全員の10個が全く一致しなければ、全部で60個の単語が挙がることになります。全員の10個が全部一致すれば、10個になります。
さて、結果はどうだったでしょうか?私の予想では、
30個前後かな?
という感じでした。
内訳は、6人全員が共通で挙げた単語:0個5人が挙げた単語:1個4人が挙げた単語:1個3人が挙げた単語:2個2人が挙げた単語:7個1人しか挙げなかった単語:31個
合計は、42個でした。しかも、全員一致して挙げた単語が「0個」とは。
思ったよりも、一致せず、バラバラでした。
参加者の感想も、
「いつも一緒に仕事をしている職場の仲間ですら、こんな結果になるなんて・・・」
というものでした。
同じ日本語を話しているからといって、同じ単語を使っているからといって、同じことを連想しているとは限らないということが分かっていただけたでしょうか。

もう一つ例を挙げてみましょう。「売上を増やす」という言葉についてです。
従業員の立場の人にとっては、「ノルマ」という連想をしてしまうかもしれません。そこに、ネガティブな意味合いが含まれていれば、行動を抑制する要因になってしまいます。
経営者の立場にとっては、「繁栄」という連想をするかもしれません。そこに、ポジティブな意味合いが含まれていれば、行動を促進する要因になるでしょう。
この立場の違う両者が、同じ「売上を増やす」という言葉を使って、目標や計画を立てることになったら、対立関係になってしまうことが予想されます。
もし、このような連想する意味合いの違いが予め分かっている場合、もしくは、コミュニケーションをする中で気が付いた場合には、その意味合いの違いを埋めることが必要になります。
例えば、「売上を増やす」ことは、

  • 従業員の給料が増えることである
  • あなたのスキルがアップすることである
  • お客様にたくさん感謝されることである

などの言い換えをして、従業員それぞれがポジティブな意味合いで受け取れるようにしてあげるという方法があります。
「そんなことを、いちいちしていられない」
と思われるかもしれません。
もちろん、必ずしもそうしなければいけないワケではありません。どちらが、結果として成果が上がりやすいのか、望んでいる成果を得られやすいのか、ということを考えてみていただきたいというお話なのです。


これほどまでに、同じ言葉を使っていても、違うイメージを持っているのです。

「雨」という言葉ならば、生活上、それほど大きな問題になることはないでしょう。

しかし、仕事上で使われる言葉、例えば、「目標」「売上」「コスト」「リスク」などについて、ポジティブな連想をするか、ネガティブな連想をするか、だけをとっても、コミュニケーション障害が発生しそうであることが容易に想像できます。

」「

私のセミナーで、実際に行うワーク
の1つを紹介します。

参加者全員に、ある単語から連想する言葉を10個書き出してもらうというものです。

では、実際にあなたにも参加していただいましょう。

  1. 「雨」から連想する言葉を10個、書き出してください。
  2. 「旅行」から連想する言葉を10個、書き出してください。

書き出してみましたか?

それでは、実際に6名が参加したセミナーでの結果を発表します。

もし、6人全員が同じ10個の言葉を買い出していれば、全部で10個の言葉が出てきているはずです。

もし、6人全員が全く被らずに、違う10個の言葉を書き出していれば、6人×10個で、全部で60個の言葉が出てきていることになります。

さて、結果はどうだったでしょうか?
結果を予想しながら見てみてください。
そして、あなたが書き出した10個の言葉は、いくつ出てきているでしょうか?

それでは、結果発表です。

  1. 「雨」から連想する言葉の結果

6人中、6人全員が書き出した言葉 0個
6人中、5人が書き出した言葉 1個

6人中、4人が書き出した言葉 1個
長靴
6人中、3人が書き出した言葉 2個
レインコート、濡れる
6人中、2人が書き出した言葉 7個
天気、雲、梅雨、憂鬱、水、じめじめ、カエル
6人中、1人だけが書き出は言葉 31個
優しい、川、光、ハンカチ、農業、雷、てるてる坊主、雨宿り、6月、5月
霧雨、暗い、土砂降り、しとしと、ざあざあ、寒い、恵み、朝、干ばつ、森林
植木、虫、水たまり、嫌い、 太陽、朝顔、湿度、かっぱ、台風、虹
レインブーツ

総数:42個

  1. 「旅行」から連想する言葉の結果

6人中、6人全員が書き出した言葉 0個
6人中、5人が書き出した言葉 0個
6人中、4人が書き出した言葉 1個
おみやげ
6人中、3人が書き出した言葉 1個
食事
6人中、2人が書き出した言葉 7個
家族、パスポート、海、山、温泉、スーツケース、楽しい
6人中、1人だけが書き出した言葉 39個
海外、名物、お酒、神社、そば、緑、休日、海外旅行、新幹線、荷造り
地図、カバン、休み、車、計画、写真、観光、自然、会う、片付け
動物、人、疲労、気付き、乗り物、電車、ハワイ、駅弁、飛行機、お菓子
前の日眠れない、疲れる、ホテル、世界遺産、スリランカ、連休、バックパッカー、英語、格安
総計:48個

この結果はいずれも、とある職場で行ったセミナーでの結果です。

初めて会った方々の結果ではありません。

「類は友を呼ぶ」と言いますが、同じ職場の人たちは、それほど大きな違いがあるとは思えません。

それでも、このような結果になるのです。

初めて会った相手や普段違う環境で過ごしている相手の場合はもっと多様性のある結果になったのではないでしょうか?

この結果を面白いと思われたら、あなたも機会を使って、職場内や家族・友人などともやってみてください。

ちなみに、職場でやるときには、職場内でよく使われる言葉、例えば、「売上」「計画」「お客様」などでやってみるのも良いかもしれません。

同じ言葉でも、人によって、ポジティブな印象を持っていたり、ネガティブな印象を持っていたり、というのが分かるかもしれません。

他の例も紹介しておきましょう。

  1. NLPの師匠の例

師匠は、食べ物の味には、あまり興味がないのだそうです。

それよりも 「歯ざわり」「食感」にこだわりがあるのだそうです。

歯ざわりが、しっかりしている、コリコリしている物を美味しいと感じるのだそうです。

ですので、師匠が食べ物について「美味しい」と言ったとき、それは、

「コリコリしている」

という意味なのです。

お酒の席で、私が美味しいと感じ、師匠にも食べていただきたいなぁ、と思ったときには、味がどうこうと言っても、興味を示してくださらないので、

「歯ごたえが良いですよ」

とオススメします。

そうすると興味を示して、食べてくれるのです。

  1. 私の妻の例

私の妻は、労いの言葉や励ましの言葉として、

「かわいそう」

と言ってもらえるのが嬉しいのだそうです。

「がんばってるね」
「えらいね」

よりも、がんばっているのに報われていないのは、

「かわいそう」

と言われた方が、分かってもらえている、共感されている、と感じるのだそうです。

私には、その感覚はないのですが、妻を労ったり、励ますときには、

「かわいそう」

と言うようにしています。

」「

仮に、そもそもの意味を取り違えていたら、コミュニケーションが成立することは困難です。  

「その言葉は、どんな意味で使ってる?」  

と確認することも重要なステップです。  

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