人間が行動する(行動しない)心理、つまり、動機を理解すれば、
- コミュニケーションの成果を上げる
- リーダシップを発揮する
- 自身の目標を達成する
ために役に立ちます。
このページでは、人が行動を起こすとき、行動をしないときの心理について解説します。
人の行動心理(動機)
- コミュニケーションの場面で、「自分が望む、相手の反応を得る」ために
- リーダーシップの場面で、メンバーの行動を促すために
- 目標達成の場面で、自分を行動に駆り立てるために
人が行動する(行動しない)心理を知っておくことは重要です。
人の行動心理(=動機)は、実は単純です。
- 「快」を求める
- 「不快」からが逃げる
という、たった2つです。
「快」を求めて、「不快」から逃げる
改めて、人の行動心理は、以下のたったの2つです。
- 「快」を求める
- 「不快」からが逃げる
「快」とは:
気持ち良い、うれしい、楽しい、美しい、美味しい、落ち着き、やすらぎ、温もり、つながり、幸せ、・・・、などです。
「不快」とは:
気持ち悪い、痛い、悲しい、暑い、寒い、汚い、臭い、忙しい、居心地が悪い、離別、不幸、・・・、などです。
人の行動心理、すなわち、行動を起こす、または、行動をやめる理由は、「快」を求めるか、「不快」から逃げるかのたった2つということができます。
人の行動心理は、たった2つと単純なのですが、ことを複雑にしている要因があります。
それは、
- 何を「快」と感じ
- 何を「不快」と感じる
かが、人によって、まちまちだということです。
この、何を「快」と感じ、何を「不快」と感じるか、のことを
連想体系
と言います。
人によって、連想体系が違うことが、ことを複雑にしているということができます。
例えば、タバコについて:
私にとって、タバコは「不快」という連想体系になっています。
- 臭いが嫌いです。
- 煙を吸うと、むせてしまって苦しいです。
なので、タバコ=「不快」から逃げます。
タバコの煙や臭いのする場所から遠ざかります。
喫煙者にとっては、タバコは「快」という連想体系です。
- 吸うと落ち着く
- リラックスできる
などの理由があるのでしょう。
なので、タバコ=「快」を求めて、喫煙します。
このように、連想体系が人によって違うことが、ことを複雑にしています。
しかし、原則は「快」を求めて、「不快」から逃げる、と単純です。
自分や相手の連想体系が分かれば、望む行動を促したり、望まない行動を抑制したり、する方法が分かってくるでしょう。
目先の「快」/「不快」と結果の「快」/「不快」
人の行動心理や連想体系について解説しました。
ここでは、もう少し突っ込んで考えてみたいと思います。
人間には時間の観念や想像力が備わっています。
このことを加味した連想体系について、考えてみましょう。
人には、目先の「快」/「不快」だけでなく、それをした結果の「快」/「不快」を考えることができます。
なので、実際に行動するかしないかは、この2つの関係から決まることになります。
下図は、目先の「快」/「不快」とそれをした結果の「快」/「不快」の関係を示したものです。
横軸が目先の「快」/「不快」です。
右側に寄っているほど目先の「快」が大きく、左側に寄っているほど目先の「不快」が大きいということです。
縦軸が結果の「快」/「不快」です。
上側に寄っているほど、それをした結果の「快」が大きく、下側に寄っているほど、それをした結果の「不快」が大きいということです。
- 図中のAの領域は、目先で「快」を感じ、それをした結果も「快」であるという連想体系の場合です。
このような場合は、喜んで積極的に行動を起こします。 - 図中のBの領域は、
目先で「快」を感じ、それをした結果は「不快」である目先の「快」と結果の「不快」を比べると、目先の「快」の方が大きいという連想体系の場合です。
このような場合は、躊躇しながらも、行動を起こします。 - 図中のCの領域は、領域Bと似ていますが、目先の「快」と結果の「不快」を比べると、結果の「不快」の方が大きいという連想体系の場合です。
このような場合は、我慢して行動を止めます。 - 図中のDの領域は目先で「不快」を感じ、それをした結果も「不快」であるという連想体系の場合です。
このような場合、絶対に行動は起こしません。 - 図中のEの領域は、目先で「不快」を感じ、それをした結果は「快」であり、目先の「不快」と結果の「快」を比べると、目先の「不快」の方が大きいという連想体系の場合です。
このような場合は、一時的には行動を始めるかもしれませんが、すぐにやめてしまうでしょう。 - 図中のFの領域は、Eの領域と似ていますが、目先の「不快」と結果の「快」を比べると、結果の「快」の方が大きいという連想体系の場合です。このような場合、なんとかして、行動を起こします。
目先の「快」/「不快」、その結果の「快」/「不快」の関係が分かると、
- コミュニケーションの場面で、「自分が望む、相手の反応を得る」こと
- リーダーシップの場面で、メンバーの行動を促すこと
- 目標達成の場面で、自分を行動に駆り立てること
が達成しやすくなります。
相手が、
- 目先のことに「快」を感じているのか、「不快」を感じているのか
- 得られる結果に「快」を感じているのか、「不快」を感じているのか
が分かっていれば、
相手に行動を起こさせたいのならば、
- 目先の「快」をより大きく
- 目先の「不快」をより小さく
- 得られる結果の「快」をより大きく
- 得られる結果の「不快」をより小さく
相手が感じられるように、話す・プレゼンすることを工夫しましょう。
相手に行動をやめさせたいのならば、
- 目先の「快」をより小さく
- 目先の「不快」をより大きく
- 得られる結果の「快」をより小さく
- 得られる結果の「不快」をより大きく
相手が感じられるように、話す・プレゼンすることを工夫しましょう。
自分の行動を駆り立てたい、やめさせたい場合は、自分が感じられる「快」「不快」を理解するための判断材料を集めてみましょう。
つまり、図中の赤い矢印の方向に、「快」/「不快」の位置づけを移動させるイメージです。
禁煙の例を挙げましょう。
タバコ=「快」という連想体系を壊して、タバコ=「不快」という新しい連想体系をつくることです。
目先のこととして、
- タバコを吸うのは苦しいこと(体感覚・心配タイプ向け)
- 新鮮な空気は美味しいこと(体感覚・期待タイプ向け)
を実感できるようにする。
得られる結果として、
- タバコを吸い続けると、肺がこんなに真っ黒になってしまう、という写真を見る。(視覚・心配タイプ向け)
- タバコをやめると、寿命がこれだけ伸びる、生涯のタバコ代・医療費がこれだけ節約になるというデータを見る。(聴覚・期待タイプ向け)
などです。
まとめ
人は、どんなときに行動を起こし、どんなときに行動を止めるのか、
人の行動心理
について、解説しました。
人の行動心理は、たった2つ
- 「快」を求めて、
- 「不快」から逃げる。
です。
あとは、何を「快」とし、何を「不快」とするかという、
連想体系
が、各人によって違うということです。
このことが分かれば、
- コミュニケーションの成果を上げたり
- リーダーシップを発揮したり
- 自身の目標達成を加速したり
するために、役に立つことを解説しました。
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